残業代支払っていますか

9月17日(平成21年)の山陽新聞のWEB NEWSによると、「元横綱3代目若乃花の花田勝さんがプロデュースするちゃんこ鍋店などの元従業員ら6人が、店をチェーン展開していた「ディバイスリレーションズ」(大阪府)に残業代などの支払いを求めた訴訟で、京都地裁は17日、計約2600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。」とあります。続けて、「辻本利雄裁判長は判決理由で『月給に割増賃金を含んでいるとは認められない』と指摘。『就業月報を改ざんするなど悪質な行為もあった』として、残業代など約1500万円と付加金約1100万円の支払いを命じた。 ディバイス社は「支払った賃金は基本給と時間外労働の割増賃金を含んだものだった」などと主張していた。」と。就業月報を改ざんする云々は論外ですが、ディバイス社側が「支払った賃金は基本給と時間外労働の割増賃金を含んだものだった」と主張していることから、真偽のほどは別として店側と社員の間で何らかのの認識の違いがあったことを伺わせています。

毎月の給料に定額の残業代を上乗せして支払っている会社はそれほど珍しくありません。これが直ちに労働基準法違反ということにはなりません。ただし、内容は精査する必要があります。具体的に見てみましょう。

例えば、給与月額250,000円(40時間の残業代を含む)、1日の所定労働時間8時間、週5日であったとします。所定労働時間は法定の月平均労働時間と同じ173.8時間となります。

173.8≒(8時間×5日)÷7日×365日÷12月

法定労働時間内での時給をA円とすると、

173.8×A+40×(A×1.25)=250,000

の方程式から、A≒1,117円が求められます。

毎月の残業時間が40時間内であれば、定額の250,000円の給与だけで何の問題もありません。しかし、それ以上の残業をしたときには時給1,117円の1.25倍1,396円の残業代を支払わなければなりません。変形労働時間制を導入していなければ、先月は残業が少なかったから今月のオーバーした分はそれで賄おうということはできません。

上の例では、所定労働時間を法定労働時間と同じ前提で計算しましたが、一日の所定労働時間が7時間のように法定労働時間を下回るときは、もう少し複雑になります。変形労働時間制を導入していても異なってきます。

要は、自社の実態を十分に把握して、残業代が支払われていないとの訴えが起きないようにしておくことが大事です。それには、就業規則あるいは給与規程に「残業代を含んでいること」を明記すると同時に、毎月の給与明細にも残業代の表示をするとよいでしょう。上の判決理由で『月給に割増賃金を含んでいるとは認められない』とあることから、同社ではどちらもなされていなかったと推測できます。

また判決に「付加金約1100万円の支払いを命じた」とあります。付加金とはなんでしょうか。

付加金は労働基準法第114条に規定されているペナルティーです。裁判所の命じるもので、残業代の他、休日割増、休業手当等を支払わなかったときに社員の請求により、未払金と同一額の支払いを課すものです。あまり関わりになりたくないものですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。