3月号 長時間労働

2017年3月(第94号)

我が国の労働時間が欧米に比べて長いとの指摘を受け、過労死がKaroushiとして国際語になってから久しく経ちますが、今日でも長時間労働は社会問題のままです。今回は、長時間労働の要因とその対策をまとめてみました。

長時間労働の弊害

長時間労働は、社員本人の健康を蝕むだけでなく、会社経営にも悪影響を与えます。社員本人に対しては、長時間労働に長距離通勤が合わさって睡眠時間を十分に確保できないことが健康を蝕む原因になっているといわれています。会社にとっては、①業務効率の低下、②残業手当の増大、③疾病や離職による労働力の喪失、更にはうつ病に罹ったときの④労災認定、本人や家族からの⑤訴訟リスクがあります。労働基準法違反となると、労働基準監督署からの⑥是正指導、悪質と認定されたときは⑦書類送検・起訴・有罪判決の恐れもあります。
本人にとっても会社にとっても弊害の多い長時間労働を放置することは、決して得策ではありません。

長時間労働の要因

とはいえ長時間労働は、個人的要因、会社的要因に加えて社会的要因が複雑に絡んでいます。個人的要因としては、①仕事中毒、②金銭的インセンティブ、③出世願望、④プロとしての過度の成果追及、などがあります。会社的要因としては、①人手不足、②経費削減、③非効率な業務オペレーション、④帰宅できない職場の雰囲気などがあります。社会的要因としては、①顧客からの24時間サービスの要請、②過度な品質要求、③納期の短縮化などがあります。

解決のための対策

社員に単に長時間労働の削減を求めたり、社会の変化を待ったりしても長時間労働問題は解決しません。解決の主体は会社、なかんずく会社のトップである社長です。社長の決意と力強いリーダーシップがあれば、長時間労働の多くは解決またはリスクを下げることができます。
社長としては、まず長時間労働が経営基盤を揺るがすリスクであることをしっかりと認識することです。次に、長時間労働を生じている主な要因を突き止めます。その上で、会社として長期間労働削減宣言を発します。
主要因が個人的であれば、社員・管理職への教育、人事評価方法の見直し、残業なしデーの設定などにより意識改革を図ります。主要因が会社的、社会的であれば、無駄な業務の廃止、ルーチンワークのアウトソーシング、会議の簡素化、サービスの見直し、人員の補充、多能工の養成、業務の標準化、ITによる効率化などにより長期間労働の削減を図ります。

リスクの低減方法

対策を取っても、長時間労働が削減できないケースがあり、このときは次善の策としてリスク低減策を講じることになります。社員一人ひとりの抱えている問題点のヒアリングや、疲労蓄積度チェックにより社員の健康に配慮することです。これらにより疾病予防や離職防止が図れ、長時間労働によるリスクを低減することができます。

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