休業期間の出勤率計算

2020年8月

Q: 年次有給休暇の付与要件の出勤率計算において新型コロナウイルスの影響で社員が休業した期間をどのように扱えばよいですか。

A: 休業した期間は出勤率の計算から外します。

労働基準法第39条の第1項に「出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては」有給休暇を与えることを要しない旨の規定があります。いわゆる出勤率8割要件です。この規定は、故意や過失により欠勤が多く勤務状態が劣悪な社員には敢えて年次有給休暇を付与する必要がないとして置かれたものです。本人の意思に関わらない休業や法が保証する休業に対しては同条第10項に「出勤したものとみなす」として、次の休業を列記しています。

① 業務上の負傷または疾病による休業

② 育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業

③ 産前産後休業

明示はされていませんが年次有給休暇の取得日も出勤したものとみなして取り扱います。

お問い合わせの休業の取り扱いの関しては法による規定はありません。出勤率8割要件が勤務状態の劣悪な社員に対して年次有給休暇を付与する必要はないとする法の趣旨を考慮すると、出勤率の計算にあたり欠勤と同様に扱うことは社員に対して酷ですし、出勤したとみなすことも不自然です。

そこで行政は次のように解釈しております。

「年次有給休暇算定の基礎となる、全労働日の取り扱いについての解釈」(平成25年7月10日 基発0710第3号)
労働者の責に帰すべき事由によると言えない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の均平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。
(一)不可抗力による休業日
(二)使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
(三)正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

今回の休業は上の(一)による休業日に当たります。よって出勤率計算で休業期間の日数は分母、分子のどちらも入れないことになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。