3月号 東日本大震災と労働法

はじめに3月11日の東日本大震災により被害に遭われた皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。

今回は、震災による事業活動の停止・縮小に関しての問題点を労働法の側面から考察してみます。

震災による事業活動の縮小

震災により会社の建屋や機械、商品が壊されてしまった。このため事業の継続が困難になったり、再建までに長期間を必要したりする例があります。直接の被害はなかったものの、取引先が被災されたために、原材料が入手できなくなったり、売上金の回収が困難になったりする例もあります。停電により事業活動が制限を受けている例もあります。いずれにしても震災の影響は今後も長い期間にわたって事業活動に制限を与え続ける可能性があります。

事業継続不能による解雇

建屋や機械等が壊されて事業の継続が不可能となり、やむなく社員を解雇するときには、事前に労働基準監督署長の認定を受けることにより即日解雇をしても解雇予告手当の支払い義務がなくなります。仕事を失う社員さんも大変ですが、会社も大変だからとの配慮でしょう。ただし、事業の縮小、または原材料の入手難や売上金の回収困難等の間接被害により事業の継続が不可能になったときの解雇では認定が受けられないようです。

事業活動縮小による休業

建屋や機械等が壊されて、事業を停止または縮小のために社員を休業させることがあります。「会社の都合による」休業をさせるときには賃金の60%を休業手当として支払う義務があります。しかしながら震災の影響による休業は「会社の都合」の休業ではありません。社員の方には大変ですが会社に休業手当の支払い義務は課せられていません。このときは認定等の手続きは必要ありませんので、社員の方によく説明して理解してもらってください。

計画停電による休業

計画停電の実施地域では、事業活動が大きく制限されます。停電中は仕事ができないので、休業することがあります。この時間は「会社都合の休業」に当たらないので休業手当の支払い義務はありません。

停電のある日は仕事にならないとして一日を休業にしたときはどうでしょうか。原則では、停電のない時間を休業させたときは休業手当の支払い義務が生じます。しかしながら、停電の前後だけを操業させることが経営的に著しく不適当であるときは一日休業したとしても会社都合の休業とはなりません。つまり休業手当の支払い義務は生じないとされています。

休業を実施したものの、計画されていた停電がなかったときはどうでしょうか。原則では、会社都合の休業となり休業手当の支払い義務が生じます。しかし実際には、計画停電の予定やその変更内容、公表時期、会社の休業回避のための具体的な努力等を総合的に考慮して、判断されることになります。

時局を乗り切るために

社長さんには「社員の生活」と「会社の事業継続」とのバランスを取った経営の舵取りをする極めて困難な努力が求められています。やむなく無給での休業を社員に求めるときは、経営上の必要性と法律に則った十分な説明が必要になります。できれば雇用調整助成金の受給を検討することを含めて、無給での休業を避ける努力が望まれます。

会社と社員が、力を合わせてこの時局を乗り越え、明日の事業発展に繋げることを切に願っています。

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