Q: 正社員には就業規則により半休や時間単位年休を認めております。しかしパート社員の有給休暇は1日単位で取得させることとし、時間単位年休等は認めていません。問題がありましたらご指摘下さい。
A: 所定労働時間の差により半休や時間単位年休の取得に差をつけるのは問題です。
パートタイム労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆるパートタイム・有期雇用労働法)第8条の「不合理な待遇の禁止」と第9条の「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止」の規定があります。特に第8条では、契約期間や所定労働時間の差に基づいての合理的な根拠のない待遇差を禁止している条項です。
一方で労働基準法第39条第4項において、時間単位年休は労使協定で対象労働者の範囲を定めることができるとなっています。厚生労働省の資料によると、「一部の者を対象外とする場合には、事業の 正常な運営を妨げる場合に限られます。」とあります。さらに、「『育児を行う労働者』など、取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。」ともあります。パート社員を対象とすることが、「事業の正常な運営を妨げる」のでなければ、対象から外すことは難しいと言えます。
半日単位の年休は法的な裏付けがありませんが、対象者に関して時間単位年休と異ならないと考えることが妥当でしょう。
よって、正社員に認めている半休や時間単位年休をパート社員に認めないことには、事業の 正常な運営を妨げない限り問題があると言えます。
今回はパート社員への半休や時間単位年休付与の相談でしたが、他の処遇でも見直しが必要になるケースがあります。例えば正社員は月給制に対してパート社員は時給制であったり、通勤費や住宅手当、扶養手当がパート社員には支給されていなかったりのケースでは、その理由が正当であることを確認する必要があります。
パート社員のすべての処遇を正社員と同じにしなければならない訳ではありません。処遇に差があれば、その差の理由に合理的な根拠があり、その理由を説明できなければならないということです。なおパートタイム・有期雇用労働法では、求められたときに処遇差の理由を説明することが会社の責務とされています。