8月号 出産・育児時の公的援助

2018年 8月(第111号)

改正育児・介護休業法により、出産時から最長2年間の育児休業ができる制度になりました。とはいっても、2年間も休業されることに抵抗を感じている社長さんがいるのも事実です。今回は、出産・育児時の本人と会社への公的援助についてまとめてみました。

産前産後休業中の社会保険料の免除 

産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として休業した期間の社会保険料は、会社の申出により本人分、会社分共に免除されます。休業期間中、有給・無給であるかは問いません。
保険料の徴収が免除される期間は、休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までです。年金額を計算する際には、免除期間中も保険料を納めた期間として取り扱われます。

育児休業中の社会保険料の免除 

育児・介護休業法による育児休業及び満3歳未満の子を養育するための育児休業に準じる休業期間の社会保険料は、会社の申出により本人分、会社分共に免除されます。
次の①~④に掲げる休業を取得する度に、その休業期間中に会社が「育児休業等取得者申出書」を提出します。
 ① 1歳に満たない子を養育するための育児休業
 ② 1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業
 ③ 1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業
 ④ 上記②~③の終了日から3歳に達するまでの育児休業の制度に準ずる措置による休業
保険料の免除期間や給付の取り扱いは、産前産後休業中に準じています。

出産したときの給付 

本人には、出産時に子一人につき420,000円の育児一時金、また出産予定日前の42日、出産後56日の期間内の休業した日数に対して給与額の約2/3の出産手当金が健康保険から支給されます。

雇用保険の育児休業給付 

本人には、育児・介護休業法に基づき育児休業を取得したときに育児休業給付が支給されます。支給額は、はじめと6ヶ月は原則として賃金日額の67%、その後は50%相当額となります。支給期間は最大で2年です。

育児休業等終了時の報酬月額変更 

休業から復帰しても、従前の様に働けるとは限りません。短時間勤務等の育児勤務をすれば給与額は下がります。残業も多くはできないかもしれません。このとき固定的給与に変動がなくても、復帰後3ヶ月の給与額と標準報酬月額との間の1等級以上の差により、随時変更に準じて報酬月額を変更することが出来ます。これにより、本人と会社の保険料負担を減らすことが出来ます。

助成金 

両立支援等助成金の中の育児休業等支援コースでは、育児支援復帰プランを作成し、プランに基づいて円滑な育児休業の取得、職場復帰に取り組んだ中小企業は助成金を支給申請できます。育児休業中の代替要員を確保して、現職復帰させたときや、復帰後の支援のために子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度を導入し、利用させた中小企業も、助成金を申請できます。
いずれもプランの作成、それに基づく面談や、一般事業主行動計画を策定し、その旨を労働局長に届ける等の事前の準備が必要になっています。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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