1月号 経営理念

2023年 1月(第164号)

経営者の想いや理想を明文化した経営理念、今回は経営理念の目的、作成・周知方法等について紹介します。

経営理念とは

創業者であれ2代目以降の経営者であれ、会社のあるべき姿や理想を想い描いています。この理想や想いを明文化して社内外に公表したものが経営理念です。パナソニックの創業者である松下幸之助氏は「事業経営においては、たとえば技術力も大事、販売力も大事、資金力も大事、また人も大事といったように大切なものは個々にはいろいろあるが、いちばん根本になるのは、正しい経営理念である。」と説いています。また京セラの稲森和夫氏も経営理念を重視した一人です。日本航空再建の初めに経営理念を「全社員の物心両面の幸福を追求」を最上位に加えたものに変更し、企業体質改革を推し進めました。これにより社員のモチベーションが向上し、その寄与もあり再建は成功したと言われています。

経営理念制定の目的

経営理念は次の目的をもって制定されます。

  1. 行動指針:会社の目的や方向性が示されることで、取り組むべき業務が明確になり、また会社全体の一体感が醸成されます。
  2. 判断基準:事業活動において2者択一を迫られるケースはよくあります。そのとき経営理念に照らして正しい選択をすることができます。
  3. 企業価値:会社の方向性や価値観、社会的使命を明示することにより、対外的な会社の評判を高める効果があります。

経営理念の作成方法

未だ経営理念を明文化していない会社では、まずは経営者の理想や想いを整理することです。この際に次の事項を参考にします。

  1. 会社の目的
  2. 事業を通して実現したいこと
  3. 5年後、10年後の会社の姿
  4. 大切にしたい価値観

次に整理された経営者の理想や想いを文書化して、納得できるまで推敲します。他社の経営理念を参考することも有益ですが、あまりに影響されるようでは貴社の特徴がなくなります。
既に経営理念を制定されている会社では、理念と現実の乖離をチェックすることが望まれます。

経営理念の周知方法

会議室やオフィスへの掲示や社員研修、朝礼等での訓示、ホールページへの掲載等が提唱されています。筆者が勧めるのは、

  1. 経営者、管理職の言動は徹底的に経営理念に基づいたものとする
  2. 社員の業績目標、評価基準に経営理念を落とし込む

の2点です。特に1.ができないと、経営理念は単なる「お題目」になります。
前述の稲森和夫氏は日本航空再建中にリストラを断腸の思いで行いました。これは「社員の幸福の追求」に反します。そこで対象者16,000名の99%への再就職先を手配、リストラ手当の支給し、会社再建協力への深い感謝を伝えることで経営理念の精神を保ちました。

まとめ

経営理念は制定して終わりではありません。活かして初めて効果を発揮します。活かすためには経営者の経営理念に反する言動は厳禁です。
経営理念を浸透させるためには、経営者が先導して実践すること。このことが社員のモチベーション、更には会社業績を向上させます。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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