喫煙時間

Q: ヘビースモーカーの社員がいて、1日の半分は喫煙しています。喫煙時間分の給与をカットできますか。

A: 喫煙時間分の給与をカットすることはできません。

労働基準法で給与をカットできるのは、次のケースに限定されています。
1)制裁としての減給
2)欠勤、遅刻・早退等の不就労時間
前者は労働基準法第91条によって、制限が掛けられ、一回の制裁事案での減給は平均賃金の50%以内、複数の制裁事案でも減給の総額は、賃金支払い期間中の総支払額の10%以内であることが規定されています。後者は、ノーワーク・ノーペイの原則で、不就労の時間は給与の支払いは不要です。
「制裁としての減給」を見てみましょう。制裁というからには、この者の行動が、会社ルールに違反していることが必要です。就業時間中は全面禁煙とのルールがあるのならばともかく、喫煙を許している会社では、何をもって違反とするかです。喫煙時間が30分を超えてはならないとの規則があれば、それを超えたときに違反ですが、客観的に喫煙時間を計測することは困難でしょう。一日の半分は喫煙しているとしても、明確なルール違反と言えず、減給はできません。
「不就労時間」はどうでしょうか。労働基準法では、拘束時間は労働時間と休憩時間の合計時間です。労働時間は会社の指揮命令下にある時間、休憩時間は本人の意思で自由に使うことが保障されている時間です。それ以外の時間はありません。喫煙中は本人が自由に使っているから休憩時間としたいところですが、その解釈は無理です。喫煙中に電話があれば電話口に出るでしょう。命じられれば仕事に就くでしょう。これでは、自由に使うことが保障されている時間とは言えません。つまり、休憩時間ではなしに労働時間です。給与カットはできません。
どうしたらよいか。喫煙時間が長すぎることを指導し、改善されないときは人事評価を下げて、それに伴い降給することはできます。これは、制裁の減給ではないので、労働基準法の制限を受けません。最低賃金額を割り込まなければ法律違反になりません。
それでも改善されないで、他に悪影響を与えたり、給与分の働きをしなかったりとなれば、退職を促すか、最終的には解雇しかありません。解雇は会社にとってリスキーなので、解雇するためには慎重な手続きが求められることになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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