8月号 退職金制度の問題点

平成24年3月をもって適格退職年金制度が廃止されます。同制度を採用していた会社では移行に多くの労力と時間を掛けたものと思われます。しかし、移行は単なる退職金準備金の入れ物の変更だけです。退職金制度の問題をそのまま先延ばししている会社も少なくありません。今回は退職金問題について整理してみます。

退職金制度の目的

退職金制度は労働基準法その他の法律で義務付けされている制度ではありません。それにもかかわらず、多くの会社で退職金制度が設けられています。退職金制度の是非についての議論はありますが、筆者は中小規模の会社こそ退職金制度を積極的に取り入れて、活用すべきとの立場を採っています。その理由には、

1) 良いイメージが形成され、人材が集まる

2) 人材を囲い込むことができる

3) 会社への信頼感、忠誠心が醸成される

等が挙げられます。一見平凡ですが、どれをとっても中小規模の会社が欲しいものばかりです。

退職金制度の問題点

退職金制度は法的義務のない任意の制度であることは先に述べました。ところが、制度化すると労働基準法により就業規則への記載が義務付けされ、支払いが義務化されます。労働基準法では就業規則に記載された退職金は賃金として扱われ、退職金の不払いは労働基準監督署による行政指導の対象になります。

労働基準監督署による行政指導の対象になることが退職金制度の問題点ではありません。問題は、退職金準備金に対して支払い金額が多大になる可能性があることです。一昔二昔の右肩上がりの社会にあっては、準備金は5%、6%の利回りで運用することができました。そのときに定めた退職金の計算方法は、この高利回りを前提に作られているものが多くなっています。ところが、今や1%で回すのも難しい情勢です。この乖離が、退職金不足となって会社を苦しめます。

支払い額のシミュレーションが出発点

もし退職金制度改正を退職金準備金の入れ物だけを変えただけのものならば、モデルの社員を対象に支払額のシミュレーションを行うことを勧めます。この額が支払い能力を超えていれば、早急に手を打たなければなりません。退職金を待っている社員にとって減額は大きな苦痛を伴います。とはいえ、「お金がないので払えない」では泣くに泣けず、労働トラブルに発展すること必至です。

退職金規程の改正を

退職金制度の改正は多くの場合、社員にとって不利益変更になります。労働契約法第8条の規定により、会社は原則として社員の同意なしに不利益変更を行うことはできません。そのため、退職金改正に際しては、社員に対して丁寧でかつ真摯な説明が必要になります。それを考えると、制度に不安を抱えている会社は早急に改善の取り組みを開始しなければなりません。

今回は、退職金制度問題点の可能性と、その改善への道筋を整理してみました。

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