2月号 インナーブランディング

2022年 2月(第153号)

従来、ブランディングは顧客や投資家等の社外の利害関係者を対象に行うものでした。これに対してインナーブランディングは、社内の利害関係者すなわち社員を対象に行う活動です。

インナーブランディングとは

ブランドの語源は北欧の古ノルド語「焼き印を付ける」のBurner と言われています。自分と他人の家畜を一目で区別できる焼き印が転じて、マーケティング用語「区別するための要素=ブランド」となりました。通常のブランディングは外向きでアウターブランディングと言われます。名前やロゴ、デザイン等を工夫し、競合品と区別され、顧客から選ばれる状態にする活動です。

アウターブランディングが外向きであるのに対してインナーブランディングは内向きです。会社理念や使命を社員に浸透させ価値観の共有、意識の一体化や他社とは一味違う企業風土・会社文化を醸成して顧客に選ばれる状態にする活動です。

インナーブランディングの背景

インターネットとりわけSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及により会社内と社外を隔てる壁が低くなったことが背景にあります。従来であれば、商品や会社イメージのブランディングを一部の広報担当あるいは広告担当が行い、その内容が会社や商品の実態と多少離れていても大きな問題になりませんでした。今日では社員のSNSを通じた情報発信によって、会社の実態が良いことも悪いことも含めて社会に知らしめられることになりました。

導入のポイント

  1. インナーブランディングを導入する際のポイントをいくつか紹介します。
    浸透させたいものの明確化:経営理念あるいは会社の使命・ミッションから社員に浸透させたいものを明確にします。あるいは会社独自の特徴に注目して新たなブランドとして浸透させるものを設定することもあります。
  2. ゴールの明確化:活動の最終目標としての状態のイメージを明確にします。社員の行動変化あるいはその結果としての顧客の反応等がゴールになります。
  3. 活動方法の立案:浸透させる方法とスケジュールを立案します。方法としては、年に一度の打ち上げ花火的なイベントよりも毎月あるいは毎週行う継続的な方法の方が浸透を根付かせるのに有効と言われています。スケジュールでは全社員を同時に対象とするか、初めは管理職だけにするか、また活動期間を設定します。
  4. 効果の測定方法:2のゴールに合わせた測定方法を設定します。社員の行動には人事評価や意識調査、顧客の反応には注文数量やクレーム件数等を測定方法に設定することができます。

まとめ

今日では商品やサービスが良いことが当たり前で、これだけでは競争に勝てません。外向きの広告宣伝はもちろん重要ですが、全社一丸となって競争に打ち勝つためには今回紹介したインナーブランディングが有効になります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。