10月号 レファレンスチェック

2022年10月(第161号)

「折角採用した社員が会社に合わないで直ぐに退職した」、これでは会社も困りますが、入社した社員も不幸です。今回は求職者の評価方法の1つレファレンスチェックを紹介します。

レファレンスチェックとは

中途採用の際に実績や人物像、仕事ぶり等を、求職者をよく知る前職の同僚・上司等から聴取して評価することをレファレンスチェックと言います。欧米の会社ではよく行われていますが、最近では外資系だけでなく国内の会社でも採用する会社が増えています。

レファレンスチェックのメリット

社員の採用に面接を行う会社は多いですが、面接では求職者の資質を十分に評価することは困難です。面接時間が限られていること、更に求職者は採用されるために自分をよく見せようとしたり不利なことを隠そうとしたりするためです。レファレンスチェックを行うことで多面的な評価が可能となり、次のメリットが期待できます。

① 求める人材像とのミスマッチを防ぐ

② 勤務態度や働き方から早期退職を防ぐ

③ 知り得なかった長所・短所を知る

これらの評価から、適所に配置することや適切な役割を与えることが容易になります。

レファレンスチェックのデメリット

会社にはメリットの多いレファレンスチェックですが、デメリットもあります。

① 聴取先の人選:聴取先は本人に紹介してもらう、あるいは会社が探します。いずれにしても聴取先が嘘を言ったり、バイアスが掛かったりして適正な評価ができないことがあります。このため聴取先は複数人とすることが原則です。

② 信頼関係の損傷:レファレンスチェックは求職者に直接のメリットは多くありません。「ミスマッチを防ぐ」は確かに本人のメリットでもありますが、一刻でも早く就職したい本人の直近のメリットではありません。メリットの感じられないレファレンスチェックが、会社に対しての不信感を生む恐れがあります。

レファレンスチェックの導入方法

① 目的の明確化:何を聴取して評価するか、実施の目的を明確にする必要があります。目的は採用予定の業務内容や役職によって変化します。

② 採用スキーム:実施の承諾をどの時点で求職者から得るのかを採用スキームに組み入れます。

③ 聴取事項のリスト化:目的に合わせて聴取事項をリスト化します。このリストは求職者から実施の承諾を得る前に提示することが望まれます。

配慮事項

実施前に承諾を得ることは必須です。承諾なしでは個人情報保護法違反を問われます。更に、

① 内定通知前に実施する

② 病歴、業務に関係しない家族のことや思想信条等は聴取しない

③ 不都合な内容は本人に真偽の確認をする
等の配慮が必要です。

まとめ

売り手市場であったとしても、会社と求職者では立場も力関係も違います。レファレンスチェックは諸刃の剣です。目的を十分に説明して理解を得てから実施します。承諾を強要するようでは反発を招き、デメリットが大きくなります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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