12月号 介護離職ゼロ

2016年12月(第91号)

労働人口が減少する中で、経済の活力を維持し、取り戻すために政府は介護をする人材が離職することを防ぐ施策を打ち出しています。今回は、介護離職ゼロに関する施策を紹介します。

介護離職ゼロ施策の背景

高齢社会が進行し要介護者が大幅に増えるために、多くの社員が介護に直面することが予想されています。介護が原因で社員が仕事意欲を低下させたり離職したりすることは、会社はもとより社会にとっても大きな損失となります。そのため会社には、社員の仕事と介護の両立を支援することが求められています。一方で介護に直面した社員の多くは、仕事と介護を両立させ就業を継続することを求めています。
政府は、社員が就業を継続することができる様に、育児介護休業法の改正を含め、種々の施策を打ち出しています。

育児介護休業法の改正

改正・育児介護休業法が平成27年1月1日から施行されます。改正のポイントは次の4点です。①介護休業93日間を最大3回まで分割して取得可能、②介護休業は半日単位で取得可能、③介護のための所定労働時間短縮処置を介護休業とは別に2回まで利用可能、④介護がなくなるまでの間、残業の免除が受けられる。
介護休業の期間は今までと同じ93日間です。93日間で介護が終了する訳でありません。そのために期間の短さを法の不備としたり会社に不満と抱いたりする社員がいます。法の趣旨は、この期間で社員自身が介護を全うすることではありません。離職しないで就業が続けられるための準備をするための期間です。会社としても、法の趣旨を説明して、会社として出来る限りの支援の手を差し伸べて上げることが望まれます。

介護休業給付金

介護期間中の収入を補てんするために、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。平成28円8月以降は、従来は賃金の約40%であった給付金が67%に引き上げられました。

就業規則の改正義務

労働基準法では、就業規則の作成・届出義務の課せられている常時社員数10名以上の事業所では、休日に関する事項は就業規則への記載義務を課しています。育児介護休業法の改正に伴って、改正の4ポイントの内、少なくとも①と②の休業の規定は、これを規定化して社員に周知するとともに労働基準監督署に届出る義務があります。

助成金

平成28年10月から解雇離職防止支援助成金が新設されました。助成額は、介護休業について60万円/人、介護制度について40万円/人です。いずれも中小企業の場合で、人数は最大で1企業当たり2名までとなっています。
介護休業で助成金が支給されるのは、連続1か月以上又は合計30日以上の介護休業を取得し、職場復帰したときです。介護制度で助成金が支給されるのは、①所定外労働の制限制度、②時差出勤制度、③深夜業の制限制度を連続3か月以上又は合計90日以上取得したときです。他にも細かい要件が課せられていますので、労働局の雇用環境・均等室(旧雇用均等室)もしくはお近くの社会保険労務士にご確認ください。

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