2月号 パワーハラスメント(その2)

前号ではパワーハラスメント(以下パワハラと略す)の定義、裁判例および起きたときの企業リスクをまとめてみました。今回は、パワハラを防止するための方策を紹介します。

企業風土作り

社長自らがパワハラをなくすための決意をすることが防止策の第一歩です。その上で、「いかなるパワハラも許さない」との社風を構築していきます。機会をとらえて、パワハラが会社にとって百害あって一益もないことを繰り返し訴えます。啓発のための研修会の開催、パワハラに関する会社方針や宣言、指針の形で、管理者や一般社員、パートタイマーを問わず社員全員に周知します。社内報、パンフレット、社内用のホームページが利用できれば、これらの媒体を通じて啓発活動を行います。パワハラが会社にとって悪であることが社員全員の共通認識となるまで続けます。

懲戒処分規定

啓発活動により、社内はパワハラが発生しづらい雰囲気に変わります。それでも違反者がゼロになることを保証できるものではありません。万一、違反者が出たときのために、就業規則にパワハラの禁止、および違反したときの懲戒処分規定を記載します。軽微なパワハラに対しては訓戒や厳重注意処分でも良いでしょう。重大なパワハラに対しては、懲戒解雇を含めた重罰を規定してもおかしくありません。

就業規則に懲戒処分規定を定めた後に、パワハラがあったときは迅速に被害者、加害者、周囲の関係社員から事情を聴取して事実確認を行います。その結果、パワハラが確認できたら加害者の地位や職歴、過去の功績、社長との新密度に関わらず就業規則に則って厳粛に処分をすることが肝心です。処分の不公平さや不合理さはパワハラの温床となり、将来に禍根を残します。

パワハラ相談制度

この制度は、パワハラの被害者や同僚等がパワハラの相談をするための窓口を設置することから始めます。相談を受けた担当者は、相談者に対してアドバイスをあたえます。と同時に受理した内容に応じて問題解決を図ります。この制度が十分に機能するためには次の点に十分配慮することが必要です。

  • 相談窓口担当者に権限を与え、その権限を明確にしておく
  • 相談窓口と社長との情報伝達がスムーズにいくようにしておくこと

更に

  • 相談者が不利益を受けない
  • 相談者、被害者、加害者のプライバシーが最大限に尊重される
  • 事実関係の迅速かつ正確な調査が行われる
  • 事実が確認できたときは、それに対する措置が適正に行われる
  • 事実が確認できないときも、相談者に調査結果が十分に説明される

ことが保証されなければなりません。

その上で、相談窓口の設置、相談方法及び上記の配慮事項を社員全員に周知します。

なお、規模の大きくない会社では、労働問題に明るい弁護士事務所や社会保険労務士事務所内に相談窓口を設置することも要検討です。

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