5月号 ソーハラ

2021年 5月(第144号)

ソーハラとはソーシャルメディアサービスを介したパワーハラスメントです。今回はLineによるソーハラに焦点を当ててその典型例および対策を紹介します。

Lineの特徴

Lineは1対1での連絡に加えてグループでの連絡が可能なところが特徴です。このため業務連絡に多用されるようになりましたが、対象者以外に対しては閉鎖的となり、ソーハラの温床を生むこととなりました。

LINEグループ内での行き過ぎた叱咤激励

上司が部下とLineのグループでのコミュニケーションを図ることは良く行われています。この際、部下のミスを再発防止のためであったとしても人格否定をしたり誹謗中傷になったりすることはソーハラになります。

時間外での業務連絡

Lineは何時でも何処でもメッセージを送ることができます。そこで上司が緊急事案でもないのに帰宅後や深夜、休日に業務連絡を送ることはソーハラになります。特に即座の返信や措置を求めることがあれば、社員は常に緊張を強いられ気を休めることができません。

業務と無関係なメッセージ

上司が業務に関係のないプライベートな内容を送ることもソーハラになる可能性があります。上司は部下との風通しを良くする目的であったとしても、部下は望んでいないことがあります。特に男性と女性の間ではセクシュアルハラスメントに繋がります。

対策

リアルな職場でもパワーハラスメントはありますが、外部の眼が一定の歯止めの役割を果たしています。しかしながらLineの場合には外部の眼が届かないことに加えて被害社員と直接相対していないのでソーハラをしていることを意識していないケースが多くあります。
そこで会社としてはソーハラ防止のために、次のことを行うことを勧めます。

  1. 会社方針とルールの作成と周知:会社はソーハラ防止についての会社方針を示し、利用時間や私的利用の禁止等のルールを定めてこれを全社員に周知徹底します。
  2. 教育・研修:どの行為がソーハラになりうるかを教育し、特に上司には研修を行うことにより、無意識にソーハラを犯すことを防ぎます。
  3. 実態調査・相談窓口:社員に対して定期的なアンケート等による実態調査を実施します。気軽に相談できる窓口を設けることも有効です。
  4. 会社がチェックできるシステムの導入

Lineがソーハラの温床になりうる原因は閉鎖性にあります。業務連絡に閉鎖性は必要ありません。そこで例えば費用は掛かりますがビジネスチャットを導入することも一策です。LineWorksを初めMicrosoft TeamsやTalknote等が市場に提供されています。これらでは管理者が利用状況を確認したり連絡内容をモニタリングしたりすることが出来ます。これにより使用時間の確認や閉鎖性が解消でき、ソーハラ防止に繋がります。

まとめ

Lineを上手く利用して生産性を高めることは可能です。反対に管理なしの野放図な利用はソーハラを招き、社内の雰囲気を険悪にしたり社員が体調を崩したりして生産性を落とします。

Lineは新しいツールです。効果だけでなく弊害の部分にも目を向ける姿勢が求められます。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。