給与額決定

Q: 中途採用者の職歴、保有資格から判断して給与を高目に設定したが、試用期間中の仕事ぶりを見ると期待外れです。本採用時に減給できますか。

A: 同意がなければ原則できません。ただし、契約方法により可能になります。

試用期間中とはいえ労働契約は成立しています。給与も当然に労働契約の一部ですから、会社と社員間で合意した給与額を減給(不利益変更)するためには、労働契約法第8条の規定により、社員の同意が必要になります。このため、一方的な減額は無効となる可能性があります。
このケースでは、職歴、保有資格から判断して給与を設定したわけですが、実際の働きを事前に推定することは難しいものです。そこで、試用期間中は仮の給与を設定し、本採用時に試用期間中の仕事ぶりを評価して改めて正式の給与を決定するとの契約を結ぶこともできます。このような契約が合意されていれば、本採用時の給与が試用期間中の給与額より少なくなっても、正式な評価の結果の給与額決定となりますので、契約範囲内の変更であり不利益変更にはあたりません。
とはいえ、本採用時の給与が試用期間中の給与よりも少なくなっていることが常態化していると問題です。それでは、適正な給与額を決定するための契約というよりも、採用を有利にするための方便とみなされます。民法では故意に他人の権利や利益を侵害したときに、不法行為による損害賠償責任を認めておりますので、会社はその責任を問われることになります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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