欠勤中の有給休暇指定日

Q: 体調不良で1ヶ月間の欠勤を申し出て、病欠している社員がいます。その期間中に年次有給休暇の指定日が1日あります。その日は欠勤でなく有給休暇手当を支払うのでしょうか。

A: 欠勤の申し出を会社が承認する前に年次有給休暇の指定日が確定していれば、その日は有給休暇として手当を支払うことになります。

就業規則や労使協定に長期欠勤と年次有給休暇の計画的付与日がバッティングしたときの取り扱いがなんら規定されていないことを前提に回答します。

次の2つの解釈があり得ます。

(1)年次有給休暇の計画的付与日を優先する
年次有給休暇の計画的付与日が確定した段階で、その日は原則として出勤することができません。ということは本人の意思で欠勤することもできないことになります。

よって、その日分の有給休暇手当を支払い、傷病手当金請求時には、その日は給与支払いがあったと記載することになります。

(2)欠勤を優先する
一ヶ月欠勤する旨の申し出あり会社がこれを承認した段階で、その日の労働は免除されたことになります。労働が免除された日に年次有給休暇を取得することはできませんので、欠勤として扱います。

当方は(1)の解釈の方が妥当性が高いと判断しています。

その理由として、長期欠勤とは違いますが育児休業中に年次有給休暇の計画的付与日があるときの次の行政解釈があります。

「育児休業申出前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協力に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要の賃金支払の義務が生じるものであること。(育児休業制度の労働基準法上の取扱いについて(平成三年一二月二〇日 基発第七一二号 各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長))」 

このように行政解釈では育児休業中でも賃金支払い義務が生じるとしていますので、ましてや長期欠勤の場合には賃金支払い義務すなわち有給休暇手当が生じると解釈する方が自然です。

(2024年11月)

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