Q: 給与規程で欠勤控除を「(基本給+諸手当)÷労働日数(21日)×欠勤日数」と規定しています。先月1ヶ月を全休した社員がおり、その月の所定労働日数が20日だったので計算上1日分の給与が発生しました。支払うべきでしょうか。
A: 一ヶ月全休時の特例が定めてなければ、計算通りに支払わなければなりません。
給与規程の内容から日給月給制を採用しているようです。日給月給制は所定労働日数・所定労働時間の勤務に対して一定の額を支払い、欠勤や遅刻・早退等があれば、その分だけ給与を控除する契約です。欠勤や遅刻・早退等の不就業分の控除方法は契約で定めることができます。控除方法を給与規程で規定していますので、それが契約内容です。契約に従って計算通りに給与を支払う義務が生じます。
労働基準法の残業等の割増賃金計算において、日給月給制を含む月給制では通常の賃金単価を「(基本給+各手当)÷1ヶ月の平均所定労働時間」としているので、控除計算でも賃金単価を類似の方法で算出しているケースが多く見られます。欠勤日数が少ないときは大きな支障にはなりませんが、全休近くなると不自然さが目立ちます。
この控除方法では欠勤日数が22日となると、給与額がマイナスになります。こうなると、どうしてよいか分かりません。
解決策として、
- 労働日数を算定期間の所定労働日数とする
- 欠勤日数が多くなったときの特例を規定する
- 算定期間を全休したときは、給与を無給とする特例を規定する
が考えられます。
後2者は例えば「欠勤日数が所定労働日数の半分を超えるときは、出勤日数を基に、
- 支給額=(基本給+諸手当)÷労働日数(21日)×出勤日数」
としてもよいでしょう。
控除の対象を基本給だけにしているケースもあります。このときは役職手当や住宅手当等が付与されていれば、全休でもこれらの手当は支払うことになります。これを是とするか非とするかは会社の考え方です。非であれば、不利益変更の危険を認識しつつ労働契約法第8条から第10条の規定に沿って給与規程を改正することになります。
(回答:2021年 8月)