11月号 コンピテンシー

2021年11月(第150号)

コンピテンシー面接やコンピテンシー人事評価の有効性を聞くことがあります。今回は、コンピテンシーの概要およびその応用場面、更にコンピテンシーの作成方法を紹介します。

コンピテンシーとは

ハーバード大学のデイビッド・マクレランド教授が1970年代に提唱した概念です。彼は学歴や知識が必ずしも業務の実績に結びついていないこととして、実績を上げる能力を発見するために次の方法を採った。①実績を上げている人とそうでない人を比較する。②実績を上げている人に特徴的な考え方や行動を見つけ出す。ここで確認された特徴的な行動特性がコンピテンシーです。

マクレランド教授は優秀な外交官には次の行動特性が確認されたとして、これを基に採用基準を作成した。

  1. 異文化への対応能力
  2. 他者へのポジティブな感情
  3. 人的ネットワークの構築能力

この基準で採用された外交官が優秀な成果を上げたことにより、コンピテンシーの存在が確認されました。

コンピテンシーの応用場面

コンピテンシーは実績を上げる人の特徴的な行動特性ですから、次の場面に応用されています。

  1. 採用面接:コンピテンシー項目に沿って面接を行います。合致するコンピテンシーが多いほど、自社に合った人材獲得が期待できる。
  2. 人事評価:コンピテンシー項目に沿った評価を行います。成果主義の人事評価を採り入れているところでは、その補完基準になります。
  3. 人材育成:コンピテンシーを社員に周知させることにより、成果を上げ易い行動に導く。

コンピテンシーの作成方法

コンピテンシーは業種や業務あるいは役職によって異なります。先のマクレランド教授の抽出した外交官のコンピテンシーが全ての会社や人に当てはまるとは考えられません。そこでコンピテンシーを応用するためには会社に適したコンピテンシーを作成する必要があります。

一般的な作成方法にはアンケート方式とヒアリング方式があります。実際には両方法を併用がなされていますが、多くの労力が要求されます。

中小の会社では実績を上げている人数が多くないので、この方法での作成は困難です。そこでモデルを参考に作成することが行われています。モデルとしてはライル・スペンサーらの「コンピテンシー・ディクショナリー」が有名ですが、他にも多くの書籍が発行されています。どのモデルもあくまでもモデルですので、取り入れて応用する際には次の点に注意を払う必要があります。

  1. 会社の理念・会社方針と矛盾しない
  2. 会社の理想とする人材像と矛盾しない
  3. 会社の業種・業態に合っている
  4. その者の職務、役職に合っている

まとめ

かなり汎用的なコンピテンシーとして、例えば「チャレンジ精神:過去の常識や成功体験に縛られることなく、常に新しい発想でチャレンジしている」があります。人事評価にせよ人材育成にせよ、この様なポジティブな言葉が常に意識されることが会社の発展、社員の成長に繋がります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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