重責解雇と助成金

Q: 重大な就業規則違反をした社員を懲戒解雇処分することを検討しています。その場合、助成金の受給は止められますか。

 

A: 社員の責により解雇したときは、助成金対象から外されないことがあります。

 

雇用関係の助成金の多くには、解雇もしくは退職勧奨等の会社都合の離職があったときは、助成金の支給対象から外すとの規定があります。しかし、重責解雇と言って社員の責めに帰すべき重大な理由による解雇は、会社都合の離職から除かれています。ここで、重責解雇とは、①刑法の規定違反、②故意または重過失による設備や器具の破損又は信用失墜、③重大な就業規則違反等による解雇となっています。御社のケースが、上の重責解雇の要件に該当することを確認してください。該当するときは、助成金の対象から外されない可能性があります。ただし、ハローワークが重責解雇に該当すると判断するのは刑法の死刑宣告と同様に本人に大きな不利益を与えるのでかなり慎重に行うと聞いています。上の要件③の重大な就業規則違反については、就業規則は会社が一方的に制定できることから、就業規則の規定が社会通念上相当でないときは重責解雇と判断されないことになります。

本職は、解雇は会社にとって大きなリスクであると認識しておりますので、通常は解雇を避けるよう勧めています。とはいっても労務管理上どうしてもその社員を会社から排除しなければならない事由があるときまで解雇に反対するものではありません。会社が労務管理上どうしても解雇が必要と判断したならば、たとえ助成金が不受給となったとしても、労務管理上の施策を優先して実施すべきでしょう。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。