7月号 リスクアセスメント

2016年7月(第86号)

会社を経営していく上には色々なリスクがあります。経営者はそのリスクを適切に評価して、必要な対策を取っている訳でリスクアセスメントもしくはリスクマネジメントを行っていますが、今回取り上げるのは、労働安全分野に限定します。

リスクアセスメントとは

リスクアセスメントとは、「職場にある様々な危険性を洗い出し、怪我に繋がる可能性と、怪我となったときの重篤度を見積り、その結果に基づき対策を立てていく一連の活動」と言えます。この活動を通じて、次の効果が期待できます。①職場のリスクが明らかになる、②個々の社員の危険に対する感性が養われる、③職場内のリスクに対する認識が共有される、④安全対策の優先順序が合理的に決定できる、⑤本質的な安全対策が取れる、⑥本質的な安全対策が取れないときに、保護具の着用や安全な作業方法等のルールの理由が明確になる。
リスクアセスメントは、従来の事故が起きた後の後追い的な対策ではなく、事前の攻めの安全活動として近年特に注目されています。

実施手順

リスクアセスメントには一部の社員だけでなく、社員全員が参加することにより、上記の効果を十分に得ることができます。このため、準備ステップと実施ステップを通じて実施することが勧められています。
準備ステップでは、社員全員を対象として、(1)実施体制の確立を図ります。具体的には①経営トップによるリスクアセスメントの導入宣言、②実施体制と責任者、推進者の選定、③実施時期時季の選定を行います。次に、(2)実施手順の作成、(3)責任者、推進者、および全社員に対して教育を実施して準備とします。
実施ステップでは、(1)危険性の特定、(2)リスクの見積り、(3)リスク低減措置の検討・実施、(4)記録と見直し、を行います。

リスクアセスメントを効果的にするために

危険性の特定とリスクの見積りは、リスクアセスメントの要です。危険性の特定手法としては、①操作手順書を活用する方法、②事故事例を活用する方法、③ヒヤリハットを活用する方法があります。これらを基にブレーンストーミングにより、潜在的な危険の全てをあぶり出すことも良く行われています。
リスクの見積りは、扱っている危険の種類や危険の度合いによって種々の方法が使われています。その中で、危険の度合いと事故の発生可能性の組み合わせで見積りする散布図法またはリスクマトリックス法が直感的に理解できることから良く使われています。
リスクアセスメントは、一回の実施だけで完了するものではありません。新製品の製造開始時、新装置の導入、新製法の開始時等には当然に行います。更に、定期的に繰り返し実施することが事故の発生を抑制する上で極めて有効と考えられています。

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