中途採用者の能力不足

Q: 総務部長の定年退職が迫ってきたので、後任を学歴・経歴をもとに高給を用意して中途採用しました。ところが、この社員の能力が期待に程遠く、解雇を考えています。可能でしょうか。

A: 総務部長として採用し、その能力がないのであれば解雇は可能です。

どのようなときでも解雇は会社にとってリスキーですが、それを覚悟すれば解雇することは可能です。ただし、次のような手続きは必要です。
① 現状把握:総務部長として評価できる言動、至らない言動を確認する
② 是正勧告:相当の期間を定めて、至らない言動の是正を求める
③ 退職勧奨:期限までに是正ができないときは、退職を勧奨する
④ 普通解雇:退職に応じないときは、普通解雇とする

一般社員を能力不足のために解雇することは困難であることが多いのが現実です。能力向上のための指導や教育なしに解雇することはできませんし、能力を活かせる職場への配転を試みないままでの解雇も認められないことが多くあります。
しかしながら、今回のケースは高給を以て迎えた総務部長です。職務上の地位に応じた能力を期待され、期待に応じた報酬を約束して採用された者です。つまり総務部長としての能力が雇用契約の内容となっています。ですから、総務部長としての能力がないときは債務不履行として契約解除つまり解雇することが可能と言えます。

中途採用した者を、能力不足で解雇することが可能とは言え、それでは会社も中途入社した者も不幸です。採用時に、会社として総務部長に求める能力を具体的に提示し、その能力を本当に有している者かを見極めることが必要でした。

今回のケースで学歴・経歴を重視して能力不足を見抜けなかったのは、厳しく言うと会社の落ち度です。会社にも落ち度があるので、解雇より前に幾ばくかの金銭を解決金として提示して話し合い、円満退職を図ることが得策です。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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