3月号 柔軟な勤務体制

2025年 4月(第191号)

今月の事務所通信では、「柔軟な勤務体制」と題して、柔軟な勤務体制の種類、メリット・デメリットと会社の配慮事項を紹介します。建築業や医療・介護以外でも多くの業種で人材の確保がますます難しくなってきました。「柔軟な勤務体制」の導入は、新規の人材採用で有利に働きますが、それよりも在籍者の離職を防ぐ効果が大です。
人手不足に直面している会社では、社員のニーズに合った「柔軟な勤務体制」の導入を本格的に検討する価値が大いにあると思われます。

人材確保や競争力強化のために、社員の個別事情に応じた就業環境を整備する必要性が高まっています。今回は柔軟な勤務体制の種類、メリット・デメリットと会社の配慮事項を紹介します。

柔軟な勤務体制の種類

次のような形態があり、多様なライフスタイルや個別事情に対応できる環境を提供します。

  1.  フレックスタイム制は始業・終業時刻を社員に委ねる制度です。全くの自由では支障が生じるときは、就業しなければならない時間帯いわゆるコアタイムを設けることができます。
  2.  テレワークは自宅やリモート環境で業務を遂行する働き方です。
  3.  短時間勤務制度は特定の事情を抱える社員に、1日の所定労働時間を短縮する制度です。
  4.  時差出勤は通常の始業・終業時刻を前後にずらすことで、通勤ラッシュ回避や個別事情への対応を可能にします。
  5.  その他、時間単位休暇制度や1つの仕事を複数の社員員で分担して行うジョブ・シェアリング、長めの休憩を挟むスプリットシフト、長期休暇を挟んでリフレッシュしながら働くサバティカル休暇付き勤務等があります。

柔軟な勤務体制を必要とする社員

育児や介護に携わる社員以外にも、柔軟な勤務体制を必要とする社員は多岐にわたります。

  1.  持病や障害を持つ社員には、体調に合わせて勤務時間や場所の柔軟性が有効です。例えば、通勤ラッシュを避けるための時差就業やテレワークが適しています。
  2.  働きながら大学や専門学校に通う社員や資格試験の勉強をしている社員には、フレックスタイム制や短時間勤務が役立ちます。
  3.  配偶者の転勤で引っ越しを余儀なくされる社員には、テレワークを活用することで仕事が継続できます 。
  4.  クリエイティブな業務に従事する社員にはフレックスタイムやリモートワークにより自分の集中できる時間帯や環境で働くことを可能にして生産性と創造性を高められます。

柔軟な勤務体制のメリット・デメリット

柔軟な勤務体制は社員に多くのメリットがありますが、同時に会社も人材採用、離職の防止、テレワークによるオフィスコストの削減、社員の生産性や創造性向上等のメリットを得られます。

一方で、業務管理が複雑化するために管理コストの増加、チーム連携や情報共有が難しくなる弊害があります。また、制度設計や運用 開始時には一定の導入コストが掛かります。

導入時の配慮事項

全員に均一的な環境を提供する必要はありません。公平性を保つために適用基準や運用ルールは必須です。テレワークなどで生じる孤立感や時差就業等で生じるコミュニケーション不足を防ぐために、定期的なミーティングや情報共有ツールの活用が推奨されます。制度の導入後は定期的に利用状況や効果を確認し、改善策を講じます。

まとめ

柔軟な勤務体制は人材の確保を含めて競争力強化に繋がります。制度設計や運用には課題も伴いますが、社員のニーズや会社の目的に照らして適切な制度を検討することが求められます。

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