Q:遅刻してきた者が、その日に遅刻時間分だけ残業しました。割増手当は必要でしょうか。
A:労働基準法では割増手当支払いの必要はありません。
労働基準法は、一日8時間を超える労働を原則的に禁止しております。そして、8時間を超えて労働させたときは、通常の25%増しの給与を支払うよう規定しています。禁止されている8時間を超えて労働をさせるためには、「時間外労働に関する協定」を労使間で締結し、その届を労働基準監督署に届ける必要がありますが、今回は、8時間を超えていないので、届については省略します。
今回のケースでは、遅刻してきた時間分だけ終業時刻を超えて労働をした訳ですが、実労働時間は通常の時間と同じですので、割増手当は発生しません。ただし、就業規則や賃金規程において、「所定労働時間外に労働した場合に割増賃金を支払う」という旨を定めている場合には、早出して行った労働や、終業時刻後の労働は、所定労働時間外の労働ということになり、割増手当の支払いが必要になります。就業規則を確認して、支払いするようになっていなければ、通常の賃金を支払うだけで良いです。
遅刻に対するペナルティー云々は別の話で、就業規則の罰則の条項で規定があれば、その規定の沿って課すことができます。ただし、労働基準法で上限が決められています。