Q: 給与体系が基本給と歩合給からなる会社です。先月、機械の入れ替えのために半月ほど自宅待機してもらい、基本給は通常通り支給しました。すると社員から、歩合給と残業代が減ったので、給与補償をするよう求められました。補償は必要でしょうか。
A: 休業手当は必要だが、額は給与の構成により変わってくる。
労働基準法では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」つまり会社都合による休業に対して休業手当の支払いを義務付けています。このときの会社都合とは、かなり広い意味であり、自然災害など経営者が避けることが出来ない事情や本人事情による休業以外はすべて含まれ、次のようなケースは会社都合とされます。
① 取引先の都合で、原材料が入手できない
② 販売先が倒産して、出荷がストップした
③ 人手が集まらないので休業とした
④ 法令違反で行政から営業停止命令を受けた
⑤ 社員の家族がノロウィルスに掛かったので大事をとって休ませた
当然ながら、質問のケースの機械の入れ替えのための休業は、会社都合の休業として休業手当の支払いが必要です。
とこで、労働基準法で休業手当は平均賃金の60%以上の支払いが課せられています。質問のケースでは基本給を通常通り支払っていますので、その額が平均賃金の60%以上か否かで補償の支払いの是非が決められることになります。
休業の日にも基本給を支払っていますので、基本給をその月の所定労働日数で除した金額が、休業1日に支払った金額です。つまり、基本給の日額です。一方、平均賃金は、過去3か月間の総支払額を、その期間の暦日数で除した金額です。総支払額ですから、その間の歩合給や残業手当も含めて平均賃金を計算します。
こうして求めた基本給の日額と平均賃金の60%を比べ、前者が大きいときは追加の休業手当は必要ありません。後者が大きいときは、その差額を支払うことになります。