4月号 試用期間と有期労働契約

2014年4月(第59号)

会社にとって人を採用するというのは大変な事業です。そこで、正式に採用する前に試用期間を定めたり、有期労働契約としたりします。

今回は、試用期間と有期労働契約の違い及びリスクに焦点を当てて説明します。

試用期間とは

試用期間を定義した法律の規定はありません。最高裁判所はこの期間中の契約を「解約権留保付労働契約」と考えています。面接等の採用試験時に知ることが出来なかった欠点等がこの期間で分かれば解雇権を行使できる期間と言えます。解雇理由の合理性や相当性要件が緩和されているとは言え解雇に関係するリスクはあります。

労働基準法は、「試しの使用期間中」との表現を用いて、解雇予告の必要はないと規定しています。ただし、「14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。」と雇用から14日を超えたときは、30日前の解雇予告または、解雇予告手当の支払いが必要としています。

有期労働契約とは

有期労働契約は、期間が終了すると、期間満了として契約は終了します。この終了は、会社の一方的な解約ではありませんから解雇ではありません。期間満了30日前に通知をしなければならないとの法律の規定もありません。

ところが、労働基準法第14条第2項に基づき厚生労働大臣が示した「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の中で、トラブル防止の観点から契約更新条項として契約更新の有無や、更新の判断条件や判断項目の明示を義務付けています。契約更新条項で「契約の更新はしない」と明示しているときは、期間満了により自然に契約が終了するので問題は生じません。「契約する場合がありうる」としたときは、自然と契約の終了とはならないので、雇止め時のトラブルリスクが発生します。とは言え、労働基準法の解雇予告の問題は入り込む余地がありません。

なお、契約期間が2ヶ月以下のときは、社会保険に、30日以下のときは雇用保険に加入することが出来ません。

最高裁判所の判例

平成2年6月5日の神戸弘陵学園事件で、最高裁判所は、有期労働契約について「その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右(契約)期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。」としています。つまり、形式的に有期労働契約を締結していても、法的には期間の定めのない労働契約の締結であり、契約を終了させるためには労働契約法第16条の解雇権濫用法理が適用されるということです。ただ、この考え方には、反対意見も出されています。

紹介予定派遣制度

試用期間にせよ、有期労働契約にせよ、適性を評価する期間も社員を直接雇用していることに違いありません。これに対して、紹介予定派遣制度とは派遣会社から派遣された社員を最長6ヶ月間の期間中に評価して、適正の合った者をその時点で正式に採用できる制度です。派遣社員は自分の会社や仕事への適性を確認出来ますので、雇用に際してのミスマッチを防ぐことが出来ます。会社としては採用リスクが極めて少ない制度です。

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