長期休職者

Q: 社員の1人が体調不良で長期間休んでおります。診断書には「過労のため」と書かれていました。先日、電話したところ「病院から『どうして会社を訴えないのか?』と聞かれた」と話していました。残業は多くなく過労はないと判断していますが、万が一訴訟になったときに今から準備することがあればご教示ください。
 

A: 状況が判断できる記録類を残しておいてください。

残して頂きたい記録は、タイムカード等の勤怠記録と面談記録です。

勤怠記録は、一次資料としてオリジナルを保管してください。タイムカードであれば現物を、磁気データであれば生データを保管してください。これに賃金台帳をいつでも参照できる形にしておきます。面談記録は、いままで当人と面談もしくは相談を受けたときの記録があればメモであっても保管しておいてください。

今後、面談する機会がありましたら、書面で記録を残すことはもとより、できれば音声を残してください。その際、本人の了承を得ておく方が良いと思います。

また、できれば主治医との面談を設けてください。
「どうして会社を訴えないのか?」の真意を確かめておくことが必要です。この面談には産業医の先生が立ち会って頂ければベストです。ここでも、可能ならば音声を残してください。

業務による過労が原因で体調不良になったならば、通常は真っ先に労災の申請を考えます。労災が認定されると、業務と体調不良の因果関係を国の機関である労働基準監督署が承認したことになり、慰謝料や損害賠償面で会社は不利な状況となります。もっとも残業が多くない状況では認定される可能性は低いでしょう。認定されないときは、反対に本人が会社を訴えても勝つことは難しくなるでしょう。

とはいえ裁判になることは避けたいものです。親身になって相談を受けたり、会社ができる支援を行ったりすることで訴訟に発展させないことを願います。

(2022年 5月 回答)

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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