8月号 人材活用の多様化

2021年 8月(第147号)

人材活用は社員だけを対象とすることが多いのですが、人材不足が予想される中にあって、自社以外の人材活用も重要です。

今回は人材活用の多様化を考えてみます。

人材活用の形態

人材活用の形態は雇用だけでなく、派遣、請負や委任契約等があります。自社ですべての人材を雇用するメリットは当然にありますが、専門性の高い人材を雇用するためには、教育の費用や時間を掛けなければなりません。経営環境が激しく変化する状況下では、多様な形態の人材を活用することが求められます。

雇用の特徴

雇用の最大の特徴は、労働者が会社の指揮・命令に従って仕事をすることです。これは雇用契約が「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する」契約だからです。「労働に従事することを約し」とは、会社が契約した時間内で、業務を行うために労働者を自由に使えることを意味します。業務を限定した契約でない限り、法や公序良俗に反しない範囲で労働者は業務を拒否したり選択したりすることは原則できません。代わりとして会社には労働法による規制が課せられています。

派遣の特徴

派遣も広義では雇用契約です。違うのは、派遣元(雇用主)と業務上の指揮命令権を持つ会社が異なることです。指揮命令権があると言っても、例えば残業は派遣元の36協定の範囲内でしか命じることしかできませんし、有給休暇の時季変更権を行使することもきません。採用試験等を通じての人選をすることもできません。また優秀な人材であっても派遣期間には制限があります。

制限はありますが、専門性を有する人材を即戦力として使用できるのが特徴です。

業務委託の特徴

業務委託には、法律上は大きく分けて

  1.  請負
  2.  委任・準委任

の2種類があります。請負は完成品を納品する契約、委任・準委任は業務を処理する契約です。委任と準委任との違いは法律行為の有無です。

業務委託では会社に指示命令権はありません。請負であれば納期までに完成品を納品する、委任であれば業務を正確に処理すれば良く、仕事の進め方に会社が口を挟む余地はありません。

高度な専門性が必要な業務を教育なしに遂行できるのが業務委託の特徴です。

まとめ

正社員以外のパートタイマーや有期雇用契約社員を活用している会社は多くあります。その理由の多くは賃金コストの削減であったり、景気動向に合わせる需給調整機能であったりします。もちろん、これらの理由は企業経営に重要です。否定されるものではありません。

一方で日本社会は少子高齢化による労働力の減少が進行中です。技術革新やグローバル化、異業種からの進出が広がる中で事業環境も激しく変化しています。事業環境の変化に適合するためには人材活用の選択肢を、業務委託を含めた形態にまで広げることも一策です。そのためには人材活用の多様化にマッチしたマネジメントやルールの整備が必要になります。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。