7月号 求職者の行動変化

2023年 7月(第170号)

今月の事務所通信は、「求職者の行動変化」と題して、ネット社会に於ける求人対策のヒントを書きました。従来ではハローワークを含めた求人誌等に広告を掲載するだけで一定数の応募を確保することができました。しかし、現在ではそれでは全く反応がないとの声を聞きます。ネット社会下で求職者の行動様式が変化したことが要因の一つと言われています。

我々の日常購買行動も以前と異なっています。広告を見ただけで購入行動に走ることは減りました。反対にその商品やサービスの評判や評価をネット検索して納得したものだけを購入することが多くなりました。ネットに見つからない商品やサービスに対しては慎重になります。就職行動は購入行動よりも、より慎重にならざるを得ません。会社としては、その就職行動に対応できる求人活動が求められます。

募集を掛けても従来のように人が集まらないとの声を聞きます。今回は、人が集まらない原因の一つ、求職者の行動変化を取り上げます。

求人状況

新型コロナウイルスの感染拡大により経済が落ち込んだ2020年以前に比べても有効求人倍率が上昇して求人難となっている業種が増えています。この背景には景気が回復基調にあることの他に、社会的・構造的な要因が指摘されています。少子高齢化による生産年齢人口の減少、労働基準法の残業時間上限規制による労働力の逼迫、IT技術を中心とする産業構造変化に伴う人材の需要と供給のミスマッチ、働く者の意識変化等が挙げられています。

求人難の傾向は、今後とも解消される見込みがないことが大方の予想です。

求職者の行動変化

従来、求職者が就職先を探すのはもっぱら紙媒体でした。ハローワークの求人票も、民間の求人誌も紙でした。それがスマートホン等の普及によりネットを利用しての求職活動に変化しました。この変化は単に情報媒体が紙からネットに変わっただけではありません。
紙媒体時の求職者が入社するまでの行動パターンは簡略すると例えば次のようでした。①求人を発見→②条件を読み込む→③応募→④会社説明会や面接で情報収集→⑤志望度を確認→⑥入社。ところが現在では、①求人を発見→②外部サービスで情報収集→③応募→④事前情報の確認→⑤再度情報収集→⑥入社となります。

紙媒体時には、その媒体だけで応募までが完結していました。しかしネットの特徴は容易に他の情報源にアクセスできることです。求人情報だけでなく、会社のホームページやSNS、クチコミサイト等により求人媒体に載っていない情報を収集できます。企業説明会や面接は事前に収集していた情報の真偽を確認するための場になります。更に入社前に再度各種の情報源に当たります。この段階では客観的な第三者発信情報を中心にリサーチすることになります。

第三者発信情報

ホームページに自社の情報を掲載して情報発信することは大切です。いや必須です。ホームページがない会社は、外部サービスでの情報収集時に候補会社から外されます。

自社のホームページには何でも書けることが利点です。自社の強みや特徴を記載して求職者にアピールすることができます。求人情報ページがあると更に効果的です。しかし求職者視点では、悪いところを隠しているのではとの不安を払しょくできません。そのため求職者は客観的な情報を求めます。SNSやクチコミサイトに代表される第三者発信の情報です。しかし、これらは会社のコントロールが効かない情報源です。

健康経営認定や社労士診断認定あるいはホワイト企業認定等の認定制度の利用はコントロール可能で信ぴょう性も高い情報源を得ることに繋がります。地方紙や商工会議所等の機関誌に紹介記事を載せてもらい、これを自社のホームページに転載することも同様に有効です。

まとめ

求人サイトに単に露出を増やすだけでは結果に結びつかないケースが多くあります。ネットの発達により求職者が多くの情報を容易に入手できる社会では、良質で信ぴょう性の高い情報を積極的に提供することが求められます。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。