6月号 障害年金

2015年6月(第73号)

病気や怪我の後遺症等の障害のために社員が仕事に就けないときのセーフティネットとして障害年金があります。今回は、障害年金の受給要件、受給のための注意点を中心に考えてみます。

障害年金とは

傷病手当金は、病気や怪我によって仕事に就けないときのセーフティネットです。最長で1年6ヶ月間支給されます。1年6ヶ月経っても病気が治らない、あるいは後遺症のために仕事に就けない、このようなときに障害年金が受給できることがあります。

受給するためには、障害の程度がある一定の基準を充たしていることが必要です。これを認定と言います。障害は重さによって3等級に分けられています。日常生活能力に支障を生じる状態が1級、2級、そして労働能力に支障を生じる状態が3級となっています。

支給額は、大雑把に言うと1級で老齢厚生年金額の1.25倍、2級で1.0倍、3級で報酬比例の年金額相当額となります。1級、2級にはこれに子の加算と配偶者加算が付与されることがあります。

何時から受給できるか

受給時期は障害の状態になった時期により次の3つのケースがあります。

①治療をしても回復の見込みがなくなったとき、②初診日から1年6ヶ月経ったが、まだ治らないとき、③初診日から1年6ヶ月以降に悪くなったとき。この日を、認定日を言います。

①は、例えば手足を切断したり、心臓ペースメーカーを装着したり日です。②は、初診日から1年6ヶ月後も治療中のときです。例えば、うつ病の治療を受けているときです。③は症状が進行したときです。

1年6ヶ月とあると、傷病手当金と連動していると勘違いすることがありますが、連動していません。改めて受給請求が必要です。

受給のためには

3つの要件をクリアすることで、障害年金を受給することができます。①認定日に障害の程度が基準に達していること(程度要件)、②初診日に国民年金保険または厚生年金保険の被保険者であったこと(資格要件)、③初診日以前に保険料を納めていること(納付要件)。

①は、認定を受けることにより確定しますが、認定は書類審査だけで行われます。書類は、医師の作成する診断書と本人または社会保険労務士の作成する申立書を基に決定されます。老齢年金や遺族年金は年齢や生死の事実だけで認定が行われますが、障害の状態の認定には主観が入ります。これが、障害年金の受給を困難にしています。

実務的には②、③の初診日の特定も大変です。怪我のときの初診日は明白です。ところが、うつ病のように初めは気分が優れないと受診したものの、なかなか良くならずに、他の病院を転々とすることがあります。うつ病と診断された日が初診日ではないので、本当の初診日の記録も記憶も定かでなくなり、初診日が特定できないときがあります。特定できないと、受給要件が証明できないので原則として障害年金が受けられません。

会社のすべきこと

障害年金に対して、会社の義務はありません。しかし、障害年金を必要とする社員あるいはその家族には、障害年金の概要を教示し、適切な社会保険労務士を紹介して欲しいものです。この様なことも社員を大切にする会社になる要件です。

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