9月号 「大切にしたい会社」になれますか

法政大学の経営学者である坂本光司教授が「日本でいちばん大切にしたい会社」を出版したのが2008年の4月でした。徐々に口コミやブログを通じて評判が上がり、今年その第2弾が書店に並びました。今回は、この本の紹介です。

大事にすべきものは

前書で筆者は、「会社経営とは『5人に対する使命と責任』を果たすための活動」であるとして、経営の目的を次の順で定めています。

1 社員とその家族を幸せにする

2 外注先・下請企業の社員を幸せにする

3 顧客を幸せにする

4 地域社会を幸せに、活性化させる

5 株主を幸せにする

今日では、経営の目的が「株主価値の最大化」にあると当然のようにいわれ、社員は単なるそのための道具であるとの風潮さえあります。そのような行き過ぎた風潮に対して疑問を抱きながら経営に当たっている社長さんもきっといるはずです。「社員とその家族を幸せにする」を掲げる会社が好業績を上げている。この実例を具体的に示されて、驚きと同時に非常な勇気を与えられたものでした。第2弾も、同じ視点から新たに8つの会社が紹介されています。

強い信念があれば

埼玉県からは、さいたま市からさほど遠くない日高市にあるサイボクハムが紹介されています。サイボクハムは戦後間もないころに「日本国民の食糧不足を何とかしたい」との強い思いに動かされた獣医さんが牧場から始めた養豚会社です。今では、食肉、ハム・ソーセージ及びその加工品、焼き立てパン、惣菜、有機肥料で育てた野菜、果実の販売所、またそれらを使ったレストランを展開しています。当初の強い信念に、『安全な食の提供」と「地域へのご恩返し」が加わり、更なる進化を遂げています。敷地内に作った小さなリンゴ園の話も感動的です。近くにある特別支援学校、養護学校の子供たちに、自分の手でリンゴを摘ませてあげたいとの思いからスタートし、毎年子供たちと感動と喜びを分かち合っています。

感動を共有する

感動と言えば、紹介されている8社のほとんどすべての会社が感動の共有を図っています。「難民にメガネを」の支援活動のために海外難民キャンプに社員を派遣している、北海道の(株)富士メガネさん。そこで、「目が見える!」と喜び、感謝してくれる難民の人の姿に接し、自分の仕事の意義に感動します。新入社員研修で全国の視覚障害者とペアを組む四国八十八箇所巡りをさせている高知県のネッツトヨタ南国(株)さん。この旅で、人の求めに応じる優しさを通じて感動を体験します。朝礼で「感謝したい社員の紹介」やお客さんの「お喜びの声の紹介」を通じてモチベーションを高めると同時に、感動を共有している健康・化粧品会社の(株)沖縄教育出版さん。等々。

綺麗事って大事なんだ

「物が売れない」、「売価が下がる」中で、「現実はそんな甘いものではない」との社長さんの立場はよくわかります。反面、厳しい状況に押し流されて、創業時の思いや夢を見失ってしまっているかに見える方に出会うこともあります。「綺麗事だけでは事業はできない。それでも、綺麗事って大事なんだ」。本書は、そんな思いを再認識させてくれた一冊でした。

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