Q: 被扶養者の手術費用が35万円余掛かりました。今からでも高額医療費制度を利用できますか。
A: 健康保険高額療養費支給申請書を保険者に提出することで、自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けることができます。
同一の月に支払った医療費が高額になった場合に自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度が高額療養費制度です。健康保険高額療養費支給申請書を協会けんぽ等の保険者に提出します。ただし、払い戻しは審査を経て行われますので、医療費の支払いから払い戻しまでに3ヶ月以上が掛かります。
ここでの医療費とは自己負担額のことで、差額ベッド代や食事代等の保険の適用外負担は対象になりません。また、自己負担限度額は収入に応じて5区分が設定されています。
事前に高額な医療費が見込まれるときは、病院での医療費支払いが自己負担限度額までに抑えることができる次の2つの方法があります。
(1)限度額適用認定証
事前に「限度額適用認定申請書」を保険者に提出すると、「限度額適用認定証」が交付されます。これを保険証と一緒に病院に提出します。
(2)マイナ保険証
保険証利用登録を行ったマイナンバーカードを病院に提示するときに「限度額情報の表示」に同意することで「限度額適用認定証」を提出したのと同じ効果があります。利用できるのは、オンライン資格確認を導入している病院に限定されていますので、利用の際は事前に確認することが必要になります。
限度額適用認定証やマイナ保険証は支払いが抑えられて便利ですが、複数の病院に掛かったときや、複数の家族が治療を受けたときには高額療養費支給申請書の提出が必要になります。この場合には被扶養者を含めた1人毎の病院別、入院・通院別の月医療費額が21,000円以上を合算して、自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。70歳から74歳の方については、21,000円の制限がなく全ての月医療費支払い額を合算できます。
高額療養費として払い戻しを受けた月数が直近12ヶ月で3回以上あったときに自己負担限度額が引き下げられる「多数該当高額療養費」の適用を受けることができますが、ここでは詳細は省略します。
(2024年 5月)