11月号 改正・高齢者雇用安定法

平成25年4月から改正・高齢者雇用安定法が施行されます。継続雇用制度を導入している会社にとっては影響の大きい改正となっています。

改正ポイント

改正のポイントは、65歳までの継続雇用制度で対象となる社員の基準を定めることができなくなったことです。ご存知のように平成16年の高齢者雇用安定法の改正によって、65歳までの雇用を確保する制度の導入が義務付けられました。会社は、①65歳以上への定年年齢の引き上げ、②雇用継続制度の導入、③定年制の廃止、の中から、いずれかの制度を導入するものでした。大多数の会社で導入したのが、②の雇用継続制度でした。継続雇用を希望する社員全員を雇用することが原則でしたが、労使協定で基準を定めることも可能でしたので、多くの会社では勤務態度や能力を基準として、会社に合わなくなった社員を排除できる制度としていました。

改正の背景

厚生年金の支給開始年齢の引き上げが、今回の改正の背景です。平成25年4月から、男性の厚生年金支給年齢が61歳に引き上げられます。すると継続雇用を希望しても継続雇用対象基準に該当しない社員は、退職を余儀なくされ、再就職できないと無収入状態となります。それでは直ぐに生活に困窮する人が続出することが予想され、今回の改正がなされた訳です。

経過措置

従来は、継続雇用対象の基準を労使協定で定めることができましたが平成25年4月から、基準が使えなくなります。ただし、既に基準があるときに限って、男性の厚生年金の報酬比例部分の支給がされる年齢に達した社員に基準を適用できる経過措置が置かれています。基準のない会社でも、平成25年3月31日までに協定を締結すればOKです。平成25年4月以降では協定を結んでも、基準は有効になりませんので、ご注意ください。女性社員は、厚生年金の支給開始年齢の引き上げが男性よりも5年遅れになっていますが、年齢に達していなければ厚生年金が支給されていても基準を適用することはできません。

有期契約の無期契約への転換制度との関係

労働契約法の有期労働契約の無期労働契約への転換規定と今回の改正の関係に触れておきます。結論から言うと、労働契約法の規定と今回の高齢者雇用安定法の改正とは直接関係するものではありません。

しかし、たとえば60歳で定年、継続雇用の下で1年単位の有期労働契約を4回更新して65歳、そこでもう1回契約更新をしたケース。この時点で、「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき」に該当することになり、「申込みにより、無期労働契約に転換できるルール」が適用されることになります。本人が希望し、解雇がなければ70歳でも80歳でも働き続けることが可能になります。それでは会社経営に弊害が生じる恐れがあるのであれば、継続雇用社員用に再度の定年年齢を設けることを勧めます。

継続雇用社員用に再度の定年年齢を設けるためには当然ながら就業規則を改正して、その旨を記載し、これを社員に周知しておくことが肝要となります。

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