内職者への損害賠償

Q: 製品の加工を内職として委託しています。製品を紛失されたり破損されたりして損害が発生しています。紛失や破損にたいして損害額全額の賠償責任を契約書に記載することはできるでしょうか。

A: 損害額全額の損害賠償の契約することは可能です。

労働基準法では第16条で「違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と賠償額を予定することを禁止していますので、社員に対して損害額全額の賠償を予定する契約はできません。内職は雇用契約でなく委託契約ですので労働基準法の規定は適用されません。内職を規制する法律は「家内労働法」ですが、ここには賠償予定を禁止する規定はありません。

損害賠償を予定する契約は可能とはいえ、あまりに会社側に有利で家内労働者が不利な契約とすると公序良俗に反するとして無効となる恐れがあります。例えば、原価が100円の商品を壊したからと、1万円の支払いを生ずるような契約です。1万円の根拠を説明できるのであれば良いのですが、説明することができないときは公序良俗に反する契約とされ有効性の主張は難しくなると考えられます。

商品の破損ではなく、情報漏洩はどうでしょうか。例えば、新製品の加工を委託され、これを内職に委託加工したところ発表前に情報が漏れたために委託元からペナルティーを科せられた。このケースでは、商品単価は100円であったとしても課せられたペナルティーに相当する金額を賠償する契約も不合理ではないと思われます。ただし、そのような守秘義務のある商品を内職に出す際の管理を問われ、管理に不備があれば過失相殺となり賠償金は減額されることになるでしょう。

損害賠償の契約は可能とはいえ、この契約で会社のリスクをゼロにすることはできません。商品の紛失や破損があれば、会社の信用問題になります。情報漏洩となれば致命的です。損害賠償の契約はするとしても、それだけに頼ることなく内職の委託先の信用調査を含めた管理を強化することが求められます。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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