6月号 労働基準法と労使協定

2013年6月(第49号)

労働基準法と労使協定

労使協定と言うと「時間外労働、休日労働に関する協定」いわゆる36協定が有名ですが、その他にも種々の労使協定があります。今回は、労使協定の効果および種類について整理してみます。

労働基準法で規定する労使協定

労働基準法は全国の業種、業態に原則として一律の規制を課しています。ところが業種、業態が違えば、それぞれ特有の事情があって、労働基準法の規制にそぐわない面が出てきます。例えば、一日8時間、一週間40時間を超えて労働させることは労働基準法違反となり、この規定に違反すると「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に処せられます。しかし事業を円滑に進めるためには、どうしてもこの規定に違反しなくてはならないときがあります。このため、違反しても例外的に処罰されないように労使協定の規定があります。つまり、労使協定には処罰を受けないための効果、すなわち免罰効果があるとされています。

労使協定の種類

労働基準法では、種々の労使協定を規定しています。このうち、結果的に社員に大きな負担を強いる労使協定は労働基準監督署に協定届を提出する必要があります。36協定をはじめ、一年単位の変形時間労働制関する労使協定、社内貯金に関する労使協定などが届出の対象です。これに対して、届出を必要としない労使協定もあります。賃金控除に関する労使協定や一斉休憩に関する労使協定などは締結だけが求められています。

労使協定の有効要件

労使協定の中には、労働基準監督署に届出することが有効要件とされているものがあります。その一つが、先の36協定です。届出が遅れると、「本件届は届出年月日前については無効です」旨の赤いゴム印を押されます。一日遅れただけで押されたり、一ヶ月遅れても押されなかったりとゴム印を押す基準はまちまちです。概して埼玉県内では、さいたま署が厳しい傾向にあります。ゴム印の有無に関わらず、有効性は届出日以降に変わりがありませんので、厳しすぎると憤慨することは無意味です。
社員側の締結者が「労働者過半数代表者」の要件を充たしていることが、その他の有効要件です。時間外労働をしても残業手当の付かない者は、管理監督者として処遇している訳ですから、社員の代表にはなれません。また、会社が指名した者や、社員の過半数の支持が取れていない者も社員の代表者となり得ません。その様な者と締結した労使協定は有効ではないので、当然に免罰効果がありません。

他の法律による労使協定

育児・介護休業法や高年齢者雇用安定法でも労使協定を規定しています。これらの法律は刑罰法規でないので罰則規定がありません。労使協定の効果は免罰効果ではありません。労使協定の内容により会社の義務が免除される効果があります。
労使協定も規定している法律により、その効果が違ってきます。この辺も考慮して適切な労使協定を締結することにします。なお、締結した労使協定の内容は見やすい場所に掲示するなどして、必ず社員に周知することが必要です。

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