5月号 傷病手当金

2015年5月(第72号)

病気や怪我で社員が会社を休んだときのセーフティネットとして傷病手当金があります。今回は、傷病手当金の受給要件、受給のための注意点を中心に考えてみます。

傷病手当金の支給要件

健康保険に加入している社員が業務によらない原因で病気や怪我の療養のために会社を休み、そのために収入がなくなった社員に日本健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合から支払われる給付金が傷病手当金です。
社員が次の4つの条件を充たしているときに支給されます。
①病気やけがで療養していること

②そのために仕事に就けないこと

③4日以上連続で仕事を休んでいること

④休んだ期間の給料をうけていないこと。

①の療養は健康保険を使わなくても構いません。ただし、健康保険が使えない美容整形等での休みは対象になりません。②は休んでいることが要件ですので、1時間でも出勤すると対象になりません。③の4日以上の内、最初の3日間を待期期間と言います。待期期間には有給休暇や土日祝日等の会社の休日も含まれます。④の給料が傷病手当金の額よりも少ないときは、差額が支給されます。

支給額、支給期間

傷病手当金の日額は、標準報酬日額の3分の2ですから、今までの給料の67%ぐらいになります。これが、支給開始日から最長で1年6ヶ月の期間支給されます。期間中に職場復帰し、その後再度傷病手当金を受け取ることになっても、期間は延長されません。

退職後の給付

療養中は、次の2つの条件を充たすと、退職後も傷病手当金が受けられます。①退職前の1年間以上、継続して健康保険に加入していること、②退職日に傷病手当金を受けている、又は受けられる状態にあること。②のために、退職日に出勤すると、治ったと見做されて退職後の傷病手当金は支給されません。注意が必要です。
退職後の傷病手当金の支給期間も、1年6ヶ月です。ただし、途中で仕事に就ける状態になると、その後の支給はなくなります。

国民健康保険の場合は

上記の傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合に加入している社員が対象です。国民健康保険の加入者または組合員は、異なります。
市町村の国民健康保険では傷病手当金の制度がないところが大部分です。
埼玉県医師国民健康保険組合では、30日間以上療養したときに、最初の1日から5,000円の傷病手当金が360日間を限度に支給されます。
埼玉土建では、4日以上療養したときに、最初の1日から180日を限度に傷病手当金が支給されます。支給額は、入院、通院、自宅療養の別や組合員の区分により、1,000~6,900円の範囲になります。

会社のすべきこと

傷病手当金に関して、会社の義務は、勤務状況と給与の支払い状況を申請書に記載し、それらを証する資料のコピーを提供することです。しかし、傷病手当金を必要とする社員には、概要までで良いので制度があることを教示して欲しいものです。
セーフティネットの利用で社員の生活を守ること、これも社員を大切にする会社の条件です。

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