会社都合の退職届

Q: 社員の一人が「理由:退職勧奨による」と書いた退職届を提出しました。事実に反しているので書き直しを命じた方が良いですか。

A: 退職理由の書き直しの命令は適切ではありません。

社員は原則として、いつでも退職することができます。この退職の意思は単に会社に届けば良く、書面によらず口頭であっても有効です。しかしながら会社としては、後になって言った、言わないとトラブルになると困るので書面での届を求めているに過ぎません。また、退職理由の如何によって退職の可否を判断できるものでもありません。
「理由:退職勧奨による」と書かれて、会社が心配するのは、
① 離職票の退職理由を、「退職勧奨」としなければならない
② 結果として会社都合の離職となり多くの助成金で支給対象から外される
ことでしょう。雇用保険被保険者喪失届には退職届の写しを添付しますので、「理由:退職勧奨による」と書かれた退職届はできれば「自己都合による」に替えたいと考えるのは分かります。しかし、退職理由の書き直しを命じることは、徒に社員を刺激することになり適切ではありません。
 
退職勧奨をしたことが事実でないならば、離職理由を、「一身上都合」とした届をハローワークに提出します。退職届は添付しますので、窓口の担当者には離職理由を「一身上都合」とした経緯を説明します。これにより、離職区分4Dすなわち「一身上都合」の離職票が発行されます。

退職した社員は、この離職票を持って基本手当等の受給手続きを行います。そのとき、離職区分に不満があればハローワークに対して異議を申し出ることになります。これを受けてハローワークは会社に事実確認を行い、退職勧奨の事実が確認できないときは異議を認めない決定をします。
退職した社員がその決定に納得しなければ、労働局の雇用保険審査官、さらに厚生労働省の雇用保険審査会に審査請求することになりますが、事実と異なった決定になることは通常ではありえません。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。