Q: 週4日のパート社員が入社6ヶ月経ちましたが、勤務実績日数は平均すると週に3日ぐらいです。年次有給休暇は契約の週4日として付与するか、実績の週3日して付与すべきか迷っています。女性が働きやすい職場とするために、用のある時は自由に休めることにして不足日数は欠勤扱いしていません。
A: 原則は付与月日での契約条件で付与します。ただし、勤務実績が雇用条件と大きく乖離しているときは、実績日数で付与することも実務上あり得ます。
パート社員の年次有給休暇の付与日数は、労働時間や勤務日数に応じて異なります。週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上の場合には入社6ヶ月後に10日の有給休暇が付与され、その後は勤続年数に応じて増加します。週の所定労働時間が30時間未満、かつ週の所定労働日数が4日以下の場合には 比例付与と呼ばれる制度が適用され、労働日数に応じて付与日数が決まります。
- 週4日勤務: 6ヶ月後に7日(年間労働日数が169日以上)
- 週3日勤務: 6ヶ月後に5日(年間労働日数が121日以上)
- 週2日勤務: 6ヶ月後に3日(年間労働日数が 73日以上)
週の所定労働日数が1日未満(年間労働日数が48日未満)では年次有給休暇付与の義務はありません。
ここで用いる雇用条件は年次有給休暇を付与する日(基準日)の条件です。例えば4月1日の新入社員の年次有給休暇付与を入社6ヶ月目の日にするならば、10月1日が基準日で、この日の条件で付与日数を決定します。尤もその時点で過去1年間(新入社員では6ヶ月)の出勤率が80%未満では、付与する義務はありません。
ご質問のケースでは、週4日の条件で入社し、それが変わっていなければ入社6ヶ月で7日の年次有給休暇を付与することが原則です。ただし、勤務実績が週3日ぐらいとすると、通常であれば出勤率が80%未満となり付与対象でなくなります。この会社では女性が働きやすい職場とするために「用のあるときは自由に休める」環境を提供しています。このような欠勤扱をしていない会社事情を考慮すると、所定労働日数を定めていないときの年次有給休暇付与方式を採用することが適しています。この方式は、過去1年間の勤務日数(新入社員のときは6ヶ月の勤務日数の2倍)を基準日の雇用条件とみなし、その日数で年次有給休暇の付与日数を決定するものです。法的な裏付けは全くない方式ですが、妥当性、説得性はあります。
よってご質問のケースでは、週3日勤務とみなし、5日の付与でよいでしょう。
反対に週4日の条件で入社した社員が週5日の勤務実績であったときは、10日の年次有給休暇を付与することになります。
(2025年 1月)