4月号 テレワーク

2020年 4月(第131号)

新型コロナウイルス感染防止策としてテレワークが注目を集めています。欠点は物理的な作業を伴う職種では導入することができないことです。しかし、事務職の多くには採用可能で、成功している事例もたくさん報告されています。今回はテレワーク導入時の課題と対処法を紹介します。

テレワークとは 

テレワークとは通信技術を利用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方です。働き方改革の一環で推奨されてきました。通勤時間の削減、育児中の人材活用やオフィス費用に削減などのメリットがあります。

導入の課題 

メリットがあるテレワークですが、デメリットもあり、導入には次のような課題があります。
(1)    労働時間の把握が困難 
労働基準法では会社は労働時間に基づいて給料を支払います。テレワーク中の労働時間は、①通常の労働時間制、②フレックスタイム制、③事業場外みなし労働時間制等が適用できます。国は、テレワークを推進するために③の見なし時間制の適用要件を相当に緩めています。要件を満たせばみなし時間制の採用により会社の労働時間把握の負担は少なくできます。ただし、健康面から長時間勤務を防止する策は必要になります。
(2)    即時の指示命令が困難 
通常の会社で行われているような、状況に応じて仕事の内容や優先順序を即時に変更するような指示命令はテレワークでは困難です。短くても半日単位の仕事を、自立して仕事を遂行し、かつ時間管理・目標管理ができる社員に任せることがテレワークです。
(3)    孤独化し易い 
通常は1人作業になりますので、社員によっては孤独感に悩まされます。仕事の過程を示す機会も少ないので、自分の評価に不安を覚える社員もいます。これらを取り除くために、①テレビ会議やチャットツールなど対話をサポートするシステム、②適正で透明性の高い人事評価システムが必要になります。
定期的に来社の日を設けて会社と社員が顔を合わせて信頼感を醸成する工夫も必要です。
(4)    セキュリティリスク 
自宅のパソコン等の情報機器は会社に比べてセキュリティ面で脆弱なことが多くあります。コンピュータウィルスやスパイウェア等のマルウェアを完全に阻止することは不可能です。最低限の対策として、①最新版のオペレーティングシステムへの更新、②セキュリティソフトの導入が不可欠です。その上で、万一感染したときの対処法を教育しておかなければなりません。
これらの点に配慮することがテレワークを成功させるためのカギになります。

まとめ 

テレビ会議システム等のコミュニケーションツールは、かなり容易に導入することができるようになりました。利用人数や時間に制限はあるが、Skype、ZoomやWherebyのように無料で実用に耐えるシステムもあります。
テレワークは従来の日本型の働き方を根本から覆すパワーを秘めている気がします。課題は多くありますが、初めからの完璧を目指さないでテレワークに適した職種に試行的に導入してみるのも一策です。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。