再雇用者の有給休暇

Q: 一度退職した社員を再雇用しました。年次有給休暇の取り扱いは、いったん退職したためゼロからのスタートでよいのでしょうか。それとも退職前の勤続期間を引き継ぐのでしょうか。退職時に再雇用の予定も約束もありませんでした。

A: 雇用契約が中断していれば年次有給休暇はゼロからのスタートになります。

労働基準法の年次有給休暇の付与給与要件は次のように規定されています。

使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

ここでのキーワードは「勤続勤務」です。この場合の「勤続勤務」とは当然ながら連続出勤ではありません。雇用契約が継続していることです。ご相談のケースでは退職時に再雇用を予定も約束もしていなかったとのことですので、その時点で勤続勤務は終了し再雇用されるまでの期間、雇用契約が中断されています。

形式的に退職となっていても、雇用が中断されていないと判断されることがあります。行政解釈では次のときは、雇用が継続しているとされます。

  1.  定年退職者の嘱託等での再雇用
    退職金を支払っていても形式的に前後で労働契約が別個になっているだけで、単なる身分の切り替えであり雇用は継続しているとされます。
  2.  有期雇用者の契約更新
    契約更新を直ちに行わないで数日の間隔を置いてから更新していても、休日以外の日に当該者が自分の意思により他社で働いていない限り雇用は継続しているとされます。

再雇用の予定・約束のようでも次のケースは中断があったと思料します。

  1.  整理解雇時に「景気が良くなったら声を掛けるから、また働きに来てね。」
  2.  休職期間満了時に「体調が良くなったら何時でも戻ってね。」

いずれのケースも時期が具体的でなく実現も不確実なために再雇用の予定・約束とは言い切れません。

(回答:2021年9月)

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