7月号 「就業規則」の法的位置付け

就業規則は、会社での労働条件やルールを統一的に定め、運用するための中核的な機能を持っています。会社が一方的に作成しますが、これを社員に周知することにより法的にも有効になります。

労働基準法の求めるもの

労働基準法では常時10名以上の社員がいる事業場に、就業規則の作成と届け出を求めています。始業・終業等の労働時間や給与、退職に関する事項が必須項目として、退職金や表彰、制裁等が、制度があれば記載しなければいけない項目として規定されています。届出には、社員代表の意見書が必要です。意見であって、同意までを求められているものではありません。

社員10名未満では不必要?

社員が家族だけのときには、就業規則は必要ないかもしれません。育ちも、考え方も社長さんと全く違う社員が増えれば、社長さんが非常識と思うことが公然と行われます。これがまかり通っていては、会社の規律が保てなくなります。ルールをまとめて置くことは業務をスムーズに遂行するための常道です。このルールが就業規則です。

法規範としての就業規則

社員に守ってほしいことと、会社ができる命令を就業規則に書いておきます。守ってほしいことは服務規定として記載します。できる命令には、必要に応じて配置転換や出向などがあります。就業規則は会社が一方的に作成するものですが、「合理的な内容であれば社員を拘束する」として法的規範性が認められているのです。

制裁ルールとは

ルールを記載して、それを周知するだけで、社員が守るのであれば問題ありません。ところが、中には違反する社員がいます。違反者をそのままにしておくと、会社の規律が緩み、業務に支障が生じます。業務を遂行する上で重要だからこそルール化したのですから、当然です。再発を防止するために何らかの手を打つことが求められます。制裁です。国の法律もルールを決めて、違反者には罰則を科しています。それを同じです。制裁の言葉にきついイメージがあって嫌がる社長さんもいますが、再発を防止するための手段の一つと考えてください。注意を与えたり、始末書を提出させたり、罰金を科したり、悪質かつ重大なときには解雇も必要かもしれません。

どのように作成すればよいか

会社により、業務により、また社長さんの理念・方針により服務規定の内容も、その重要性も変わってきます。当事務所では、会社にとっても重要な人事上の管理項目を、「著しい労務側面」として特定することを提唱しています。「著しい労務側面」の言葉はともかく、人事上の重要な管理項目は詳細かつ具体的に特定して、それに対する社員の義務と必要な罰則規定を明確にしておくことがポイントです。社会保険労務士に作成を依頼するにしても、丸投げできないのは、その会社に特有の「著しい労務側面」を社会保険労務士が単独で特定することは無理だからです。ちなみに、就業規則の作成報酬は一般に15~50万円といわれ、一見高いように見えます。それは、「著しい労務側面」の特定のために社長さんからお話を伺ったり、会社の実態を調査したりすることに十分な時間と労力を掛けるため、どうしても費用が掛ってしまうからです。

今回は、就業規則の法的位置付けと、作成するためのポイントを紹介しました。

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