12月号 労働トラブルの芽を摘む方策

社員個人と会社とのトラブル、いわゆる個別労働紛争が多くなっています。原因は、社員側、会社側、双方と種々あります。今回は、会社側の配慮が十分でなく紛争に発展した例を紹介します。

あいまいな解雇予告をした例

学習教材を販売する会社です。電話で了解を得た家庭に資料を送り、その後に約束を取って、営業担当者が訪問して学習教材を販売するスタイルでした。Aさんは、電話のアポインターを担当していました。毎日、電話を掛けては資料を送りますが、なかなか約束が取れません。しびれを切らした社長は、来月末までに約束が取れなければ「クビだ!」と宣言しました。はたして、Aさんは翌月も予約を一件も取ることができずに宣言通り、月末を持って解雇されました。知人に相談したAさんは、即時解雇されたのだから解雇予告手当を貰うことができるとして、平均賃金の30日分の20万円を請求しました。社長は怒りました。「仕事もできずに、温情で解雇に条件を付けてやったのに、それも達成できずに解雇予告手当とはなんだ!絶対に払わない。」労働基準監督署に呼び出された社長の抗弁もむなしく、労働基準法第20条違反として行政指導を受けてしまいました。

説明不足でのトラブル例

Bさんは建設会社に勤めていました。ある時、ゼネコンの下請けとして現場に入るに際して、元請け会社は労災保険の上乗せ保険に掛けるよう社長に求めました。一日に1000円ほどの掛け金です。社長はBさんに保険がなければ現場に入れない事情を説明し、一日500円の負担を求めました。Bさんが了承したので、その分を控除して給料を支払ました。工事が終わった後も社長は、上乗せ保険はBさんのためになると思い、保険金を掛け続けました。その後、Bさんは些細なトラブルが原因で退社してしまいました。ほどなく、給料から意味不明の金が不当に控除されていたとして、控除金の全額を返済するよう請求書が送られてきました。「返済がなければ労働基準監督署に訴える」と言われ、社長は善意が通じていなかったことに当惑しています。

女性差別として訴えられた例

Cさんは自動車の部品製造会社に勤めていました。2年ほど前に離婚し、3人の子供と生活しています。離婚により世帯主になったので、会社に対して住宅手当の支払いを問い合わせてきました。丁度そのころ会社は、売り上げが激減しているときでした。残業カット、給料カットをお願いして何とか経営を保っていることでしたので、住宅手当を支払う余裕などなく、「女性には住宅手当はありません」と答えてお茶を濁しておいたようです。これが不満だったようでCさんは事あるごとに不平を洩らすのもだから、ちょっとした感情のもつれから解雇してしまいました。早速、Cさんから解雇予告手当の請求がありました。これを支払ったと思ったら、今度は住宅手当2年分と女性差別されたための慰謝料と、更に解雇されなければ得られたであろう逸失利益と合わせて360万円を請求する「あっせん」を労働局に申請した旨の連絡が入りました。Cさんは「あっせんに応じなければ裁判も辞さない」と強気の姿勢を見せています。

トラブルを防ぐには

労働トラブルを100%防ぐことは容易ではありません。無用のトラブルの種が播かないこと、トラブルの芽を小さいうちに摘み取ることを心がけること、この2つが防止策です。手前味噌になりますが、労働法に明るい社会保険労務士と身近に接すること、これもトラブルを防ぐ賢明な方法です。

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