賞与

Q:  6月末に退職した元社員から、12月から5月までの全査定期間を勤務していたのだから7月の賞与は当然に貰える権利があると請求されました。支払う必要があるのでしょうか。給与規程には「賞与は支給日に在籍している社員に支払う」との規定があります。

A:  賞与の不支給規定に該当しますので、支払う義務はありません。

賞与の支払いは法律で規定されている訳でありません。現に賞与を支給しない会社はたくさんあります。一方で、賞与を支給すると就業規則に規定しますと、規定に方法にもよりますが、規定の範囲で賞与は通常の賃金と同じように扱われ、支払わないときは労働基準法違反となります。もし社員が訴えたときは、労働基準監督署は支払うよう是正勧告をします。

ところで、賞与の性質は何でしょうか。上記のように賃金との側面があります。賃金の後払いです。その他に、過去の功績への報償の側面や、将来への期待料の側面もあります。あるいは、利益の再分配の側面とか、生活保障のための恩恵的側面とかもあります。どのような性質に位置付けるかは一に会社の就業規則によります。

今回のケースでは、給与規程に、「賞与は支給日に在籍している社員に支払う」と規定されています。いわゆる賞与の在籍要件です。この規定から、この会社での賞与は将来への期待料の側面が強いと思われます。辞めた社員に期待できるのはゼロですから、賞与を支給しないとの理論はあり得ます。給与規程に規定されていることは労働条件ですので、退職者に賞与を不支給としても労働基準法違反にはなりません。従って、法的に退職者に賞与を支払う義務はありません。

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。

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