Q: 午後の半日休を請求した者に急の業務が入り、退社が2時間遅れてしまった。この2時間はどのように処理すればよいのですか。
A: 有給休暇中に業務をさせることは労働基準法の趣旨に反します。クリアな回答はできませんが、①半日休を取り消し、通常の勤務とみなす、②2時間分に対して時間外割増手当を支払う、ことになります。
年次有給休暇に絡む問題であり、年次有給休暇の買い取りが原則禁止されていることを前提に回答します。
午後休の半分程度を業務に費やしていることになり、何らの補填をしないでは本人としては納得いかないでしょう。半日休も年次有給休暇ですので、その時間分の給与を支払うことは不可です。会社側に負担を強いることになりますが、
- 本人の同意を得て半日休は取り消す(事後の取り消しは本来できません)
- 通常の終業時刻前の退社ですが通常に勤務したとみなす
(本来は早退として取り扱うところですが、本人の都合でないので難しいでしょう。)
で対処することになると思料します。
給与を支払うことは不可としながらも、既に労働基準法の趣旨に反することをしてしまっている訳ですから、
- 通常の賃金に加えて割増賃金を支払う
ことも対処法の一つと考えます。ただし、割増賃金とする根拠はありません。屁理屈ですが、禁止されている年次有給休暇の買い取りは事前の行為であり、今回は緊急事態発生後の補填行為であり買い取りとは別の行為です。だからと言って、有給休暇中に業務をさせることが合法になる訳ではありません。
要は当該社員に負担を強いたままで済ませることは許されないと言うことです。
尤も、これを前例として年次有給休暇中に業務を行わせることが習慣化することは厳に避けなければなりません。
すっきりしませんが、この問題はベストではなくベターの回答で満足するしかありません。
(2024年12月)