雇止めの予告

Q: 一時的な業務の増加に対処するため3ヶ月間の契約社員を雇いました。期間満了の半月ぐらい前に業務が終わらないようなので、2ヶ月間延ばすことを申し入れ、了承されました。期間満了の日に、「ごくろうさんでした」と礼を言ったところ、30日前に雇止めの予告をしていないので1ヶ月分の給料の支払いを請求されました。

A: 1ヶ月分の給料の支払い義務はありません。

期間雇用は、期間の満了により雇用契約が終了することが原則です。しかしながら、契約更新が反復されていたり、契約更新することへの期待に合理的な理由があったりするときには、労働者が契約更新の申し入れをすることができます(労働契約法第19条)。

本ケースでは、契約更新は1回だけで反復しているとは言えないこと、業務が終わらないために契約期間を2ヶ月延ばしただけですから、再度契約更新を期待する理由がありません。従って労働者が契約更新の申し入れをする資格はないと思われます。

労働基準法第14条に基づいて、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(以下、雇止めの基準という)」が定められています。この基準によると、雇止めは、期間の満了する30日前までに予告しなければならないとしています。が、その対象は、①3回以上の更新、②雇用期間が通算で1年超、③一年を超える契約期間のときです。本件は、いずれにも該当しませんので30日前の予告は必要としません。

万が一、労働契約法第19条に該当するとしても、あるいは雇止めの基準に抵触するとしても、1ヶ月分の給料の支払い義務はどちらにも規定されておりません。これらのことから、1ヶ月分の給料の支払い義務はありません。

支払い義務はありませんが、トラブルとなることは避けるに越したことはありません。本件の様な契約更新のときには、雇用契約書あるいは労働条件通知書を新たに交付して、雇用契約が期間満了時に終了することを書面に明示しておくことが肝要です。

(2017/5)

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。