「明日、有給ください」
「何に使うの?」
「子どもと動物園に行く約束しちゃって」
「動物園?この忙しいのに子供と動物園はないだろう?そんな理由じゃダメダメ認められないね。」
「でも・・・・・」
こんなやり取りはありませんか。年次有給休暇は皆が良くしている制度ですが、同時に誤解の多い制度です。有休制度をよく知って、社員とトラブルの起きない制度として就業規則にルールを作っておきましょう。
年次有給休暇の取得権利
年次有給休暇は、勤続年数と出勤率の要件を満たした社員に自動的に付与される権利です。社員が、「○月○日に有給ください」と請求しただけで、会社の承認不承認に関わらず行使できる権利です。会社ができるのは、その休みによって事業の正常な運営が妨げられる場合に限って、取得時期を変更することができるだけです。これを時季変更権といいます。このことを踏まえて年次有給休暇の請求に関するルールを就業規則に定めていくことが大事です。
年次有給休暇の請求時期
当日の朝になって、「有給休暇ください」では、会社は時季変更権を行使する機会がありません。これでは困りますから、就業規則に「有給休暇の請求は、前日までにすること」の旨の規定をしておくことが大事です。シフトを組んでいるような会社では前日に請求されても代替要員を見つけられないケースもあるでしょう。その場合には、もう少し余裕をもった期間を規定しておく必要があります。この請求期間の上限は法的に決められていませんので、会社の実情に合わせて妥当な期間を設定しておくことです。
年次有給休暇の計画的付与制度
労働基準法では協定により5日を残して年次有給休暇の計画的付与制度を認めています。夏休み、年末年始の長期休暇制度の導入を考えている会社やシフトを組んでいる会社では、事業の正常な運営のために計画的付与制度を活用することが有効です。この制度を使えば、有給休暇の請求に合わせて代替要員を大急ぎで探す苦労は大幅に低減できます。