5月号 口頭助言制度

2017年5月(第96号)

解雇や賃下げ等で社員とトラブルになっているときに突然に労働局から電話が入るときがあります。口頭助言の電話です。今回は、口頭助言制度の概要と対処法についてまとめてしてみます。

口頭助言とは

昭和50年代以前には労働紛争といえば、会社と労働組合間の争議が主流でした。それ以降、労働組合の組織率の低下に伴って労働組合の行う争議が減少し、労働者個人が会社を裁判所に訴える形の紛争が増えてきました。裁判所を介しての紛争解決は労働者にも会社にも重い負担をかけることになります。

そこで政府は、平成14年4月1日に「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」を施行させました。この法律に依って、都道府県の労働局と各労働基準監督署内に総合労働相談員が配置され、相談に応じると同時に、口頭助言を行えるようになりました。

口頭助言は、労働基準監督官が行う行政指導とは違います。その名に通り、助言=アドバイスで、法律の解釈や紛争の実例を説明して自主的な紛争の解決を促す制度です。

口頭助言の対象

会社と社員間の紛争であれば原則としてすべてが対象になります。対象にならないのは、①裁判所に提訴している紛争、②労働組合の関与している紛争、③労働基準法、雇用保険法や男女雇用均等法等の法律違反による紛争、④請負のように雇用関係にない者との紛争です。

解雇や退職勧奨等の退職に関する紛争、損害賠償、賃下げ、懲戒処分にかかわる紛争が対象になっています。近年は、いじめ・いやがらせの件数が増加しております。埼玉県下では平成25年以降はいじめ・いやがらせが口頭助言件数の20~25%を占め、第1位となっています。

口頭助言の対処法

口頭助言は任意で強制力のない制度ですから、電話が掛かってきたからと言っても受信話を拒否することができます。また話を聞いたとしても、あくまでアドバイスですから、それに配慮する、しないは口頭助言を受けた者が判断することになります。とはいっても、相手が口頭助言を利用したということは、紛争解決を望んでいる証です。簡単に拒否したりアドバイスを無視したりすることは避けるべきです。特に労働法、とりわけ労働契約法に精通していないときには、口頭助言の内容をよく理解することが紛争解決のための早道になります。

まとめ

「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」の施行以降に、紛争解決のために2つの法律が整備されました。平成18年4月施行の労働審判法と平成20年3月施行の上述の労働契約法です。前者は、たった3回の審判で紛争を簡便、迅速に解決しようとする裁判所の制度です。後者は、今までの労働判例に整理して、雇用契約上のルールを定めたものです。

労働審判に訴えられると時間的な制約があり、精神的にも、費用的にも大きな負担を強いられます。口頭助言に、拒否したり言い訳に始終したりするのは得策ではありません。助言者の総合労働相談員から紛争の法律的な位置付けや解決例を聞き出し、口頭助言を早期の紛争解決に役立てて欲しいものです。

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