2018年12月(第115号)
年齢によって働ける場が制限されないように、募集・採用時の年齢限定は原則禁止です。今回は、募集・採用時の年齢限定が許されている例外事項に関してまとめてみました。
年齢限定の法規制
募集・採用時の年齢限定の禁止は、雇用対策法第10条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)が根拠になっています。詳細を定めた省令第1条の3では、「法第10条の厚生労働省令で定めるときは、次の各号に掲げるとき以外のときとする。」と例外事項以外を禁止としています。
次から年齢限定が認められる、各号に掲げる例外事項を説明します。
定年年齢未満
例えば定年を65歳としている会社では、65歳未満の人を募集することは許されています。ただし、この場合は期限の定めのない雇用契約であることが条件です。有期契約のパートの募集・採用を定年年齢未満に限定することはできません。
法令で年齢限定のある業務
労働基準法では18歳未満は危険有害業務に就けないと規定されています。また、警備業法でも18歳未満は警備員として勤務できません。従って、これらの業務の募集・採用時には、18歳以上と年齢限定することは認められています。
労働安全衛生法では、労働災害の防止の観点から中高齢者の就業に当たっての配慮を求めていますが、明確に就業を禁止しているものでありません。高所作業は高年齢者には危険だからとの理由だけで年齢限定した募集・採用はできません。
長期的なキャリア形成
長期の勤続を前提に自社で社員を育成する日本的な雇用慣習を元に認められた例外事項です。職業経験を不問、新卒者と同等の処遇、期限の定めのない雇用契約を条件としています。
相当程度少ない年齢層
年齢層にネックがあるために技能の継承が困難になることがあります。このときは、該当の年齢層に限定して募集・採用することが認められています。技能の継承が目的ですから期限の定めのない募集・採用が条件になります。
俳優、モデル
芸術作品のモデルや演劇等の俳優の募集・採用では特定の年齢層に限定することが認められています。ただし、受付や接客要員に俳優やモデル級の人を採用したいとしても、目的が違うために年齢層を限定することはできません。
高年齢者
60歳以上の方の雇用を促進するために雇用した会社に助成金を給付する制度があります。この高年齢者の雇用を促進する国の施策に沿って、60歳以上の方に限定する募集・採用は認められています。ただし、60歳から70歳までと上限を定めることは禁止されています。
まとめ
人の能力は年齢だけでは判断できません。これから長期間にわたり人手不足の時代が続きます。幅広い年齢層から自社にあった方を採用することが、将来の会社成長のために重要となります。