5月号 年次有給休暇の付与管理

2013年5月(第48号)

労働基準法で年次有給休暇の付与日、付与日数の基準を規定していますが、実務でこれを管理することは案外骨の折れることです。今回は、年次有給休暇の付与管理について整理して みます。

労働基準法の年次有給休暇の付与日数

労働基準法の第39条は、第1項で雇入れの日から6ヶ月後に10日間の休暇を付与すること、第2項でその後1年ごとに11日、12日、14日・・・と休暇を付与すること、そし て第3項で上の原則に対して、パートタイマーのように所定労働日数の少ない社員には比例付与してもよいとの例外が規定されています。また年次有給休暇を付与する日は、雇入れから 6ヶ月後、その後は、その日から1年ごとになります。定期採用で全員が4月1日入社の会社であれば別ですが、多くの会社では、付与する日が異なってくることになります。また、入 社した年に応じて付与する日数が異なるために、人数が多くなると管理はかなり複雑になります。

斉一的付与日

入社日によって、年次有給休暇を付与する日が異なることは管理上複雑になることから、全員に同じ日に付与する斉一的付与方式を導入することがあります。例えば、入社日に拘らず に10月1日を付与日と定め、全社員の年次有給休暇を付与するようなことです。斉一的付与方式を導入するためには、次に示す要件を満たす必要があります。①年次有給休暇の付与要 件の8割出勤の計算において、短縮された期間は全て出勤したものとみなすこと、②次年度以降の付与日は、前回付与日から1年以内とすること、③すべての期間において、労働基準法 に規定する付与日数を下回らないこと。
斉一的付与日を定めると、この日を変更するためには上記②を満たす必要から、前回の付与日から一年以内に設定する必要があります。例えば、従来4月であった付与日を7月に変更 するには、4月に付与して、3ヶ月後の7月に更に次年度分の日数を付与することになります。翌年の7月に付与することでは労働基準法違反になります。

所定労働日数が不定のとき付与日数

週の所定労働日数が4日以下のパートタイマーやアルバイトの付与日数は労働基準法第39条第3項に例外として規定されています。ところが、業務の繁閑により労働日数を決めたり 、本人の都合に基づいてシフト表を作成したりと所定労働日数が定まらないときがあります。このときは、所定労働日数が定まっていないので、第3項の例外規定は適用されません。適 用されないからと言って、原則の第1項、第2項を適用しなければならないとすると、週に1日や2日しか勤務していない社員に対しても正社員と同じ年次有給休暇を付与することにな り、これも不合理です。そこで、過去一年間の労働日数実績を便宜的に所定労働日数とみなして第3項を準用することが実務では行われています。

所定労働日数の変更

パートタイマーから正社員、正社員から嘱託への就業形態の変更に伴い、所定労働日数が増減することがあります。このときも、付与してから一年間は、途中で所定労働日数が変更に なっても、何ら変更することはありません(少なくすることはできません)。次回の付与するときに、その時点での所定労働日数に基づいて付与する日数を決めることになります。

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