2023年 4月(第167号)
心理的安全性は創造力あふれ、活気ある会社を目指すときの必須条件です。今回は原田将嗣著「心理的安全性をつくる言葉55」(飛鳥新社)から、いくつかの刺さる言葉を紹介します。
心理的安全性とは
令和3年10月の事務所通信で一度紹介したことがあります。心理的安全性とは、「安心してアイデアや意見を自由に発して共有することができる状態」です。会議で意見が出ない、業務改善のアイデアが提案されない、新製品が生まれない原因は心理的安全性が乏しい可能性があります。
心理的安全性を私が担保します
会議等で中々意見が出ないのは社員に考えがないためではなく、発言することに躊躇しているからです。発言をしたら、笑われる、何も知らないと馬鹿にされる、不適切だと注意される、先輩の顔を潰したと意地悪をされる、上司の方針の逆らったと怒られる等の恐れがあるためです。
社長や管理職が会議の冒頭で心理的安全性を宣言することには意義があります。一回では効果がなくても毎回繰り返すことにより空気は変わってきます。
同様の宣言を掲示したり、パソコン画面に表示させたりして、常に目に触れるようにすることもお勧めです。
それはちょうどよかった
トラブルや失敗の報告は嫌なものです。受ける側も嫌ですが、報告をする側はもっと嫌なはずです。そこで、報告を受けたときの、「それはちょうどよかった。」は魔法の言葉です。
何が「ちょうどよかった」のか不思議ですが、まずこの言葉を発します。その後に、ちょうどよかった理由を探します。複雑な手順がゆえにミスをしたのであれば、手順を抜本的に見直すきっかけになります。商談に失敗したのであれば、原因を突き詰め次に繋げることができます。
「それはちょうどよかった」に合わせて「報告してくれてありがとう」があるとネガティブ情報がスムーズに上がるようになります。
止まっていることって、何ですか
部下の業務の進捗が思わしくないと、つい「なぜ」、「どうして」と聞きたくなります。原因を明らかにして解決策を探る意図があったとしても、部下は叱責されたと感じ委縮します。多くは謝罪や責任回避行動を生み何の解決にもなりません。
進捗を止めているのは「何ですか」は、起きている事実を明らかにする聞き方で、必要な対策を取りやすくします。
何が分かるか愉しみだね・
「挑戦を呼び掛けても、社員が乗ってこない」、そんな不満を抱いていることはありませんか。それは、挑戦を敢えて潰していることが原因かもしれません。挑戦には困難が付きものです。成功すれば誉め讃えるが、そうでないときは無視されるか全く評価されないのであれば挑戦する者はいなくなります。挑戦することは成功不成功に関わらず何らかの知見が得られます。「何が分かるか愉しみだね」は「成功」よりも「発見・学習」に主眼を置いた言葉で、挑戦者を励まします。
まとめ
心理的安全性の高い会社は、生ぬるい会社だと誤解している人がいます。心理的安全性の高い会社では、上司に忖度をしたり、余計な心配をしたりする必要がない分、発想が柔軟になり生産性が上がります。
言葉は魔法です。社長や管理職の心理的安全性の重要さを理解した上での一寸した言葉遣いで会社は大きく変わることになります。