12月号 年次有給休暇の計画的付与

2014年12月(第67号)

ワークライフバランスの高まりを受けて、社員に年次有給休暇の取得を奨励する会社が増えています。その対策の一つとして、年次有給休暇の計画的付与が注目されています。今回は、年次有給休暇の計画的付与制度を整理してみます。

年次有給休暇の取得状況

本来、年次有給休暇は原則として社員の請求した時季に与えなければならない制度です。ところが、なかなか取得できないのが現状です。少し前(2010年)の調査ですが、年次有給休暇の付与日数が繰り越しを含めて年間24.6日に対して、取得日数は8.1日となっています。年次有給休暇を取り残す理由として、①病気や急な用事のために残しておく(64.6%)が最も多く、次いで、②職場の他の人に迷惑を掛ける(60.2%)、③仕事量が多すぎて余裕がない(52.7%)、④仕事を引き継いでくれる人がいない(46.9%)、⑤職場の周囲の人が取らないので取りにくい(42.2%)、⑥上司がいい顔をしない(33.3%)、⑦勤務評価等への影響が心配(23.9%)と続いています。①の理由以外に対しては、年次有給休暇の計画的付与制度が取得を向上させることに有効です。

年次有給休暇の計画的付与

計画的付与とは、社員の請求した時季に与えなければならない原則とは違い、会社が取得の日を計画的に決める制度です。社員からすれば、自由に使える日が少なくなるデメリットはありますが、上の②~⑦の理由で申請をためらっている社員にとってはメリットとなります。

会社にとっては、年次有給休暇手当が増えることがデメリットと思われますが、次のようなメリットがあります。①満足度の高い職場環境作りが期待できる、②閑散期に付与することで繁忙期での取得を減少できる、③特定日への取得の集中を防止できる、④長期連続取得を減らせる。

計画的付与の運用

この制度では、会社一斉の他に、職場一斉、あるいは個人ごとに年次有給休暇を付与することが出来ます。全社一斉は、例えば夏季や冬季の休みを長くすることや、休日と休日の間をブリッジホリデーとして3連休、4連休を設けることが出来ます。職場一斉では、職場の特性に合わせて休暇を付与できます。個人ごとでは、各日の人員確保に合わせて付与したり、誕生日や結婚記念日にアニバーサリー休暇を設けたりすることができます。

制度導入の留意点

制度導入には、就業規則の改正と付与方法に関する労使協定が必要になります。また、計画付与には、社員が自由に請求できる日を残す必要があります。この日数は、前年からの繰り越し分を含めて最低5日です。

全社や職場一斉付与では新入社員や年次有給休暇の残日数が5日より少ない社員に対する配慮が必要になります。勤務させることが出来れば良いのですが、出来なければ会社都合の休業として休業手当を支払うことになります。

年次有給休暇の取りづらい会社は、取りやすい職場環境を目指すことが本来ですが、一朝一夕にはできません。まずは、年次有給休暇の計画的付与導入を検討することも一策でしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

社会保険労務士丸山事務所は、「会社の発展とそこで働く社員の幸福の実現」を全力で応援します。